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2014.05.27 Tuesday
ティーレマンの最新盤 プフィッツナー:ピアノ協奏曲ほか
ティーレマンの最新盤
2. プフィッツナー:ピアノ協奏曲変ホ長調 Op.31 3. レーガー:ロマンティック組曲 Op.125 ツィモン・バルト(ピアノ:2) シュタ−ツカペレ・ドレスデン クリスティアン・ティ−レマン(指揮) 録音時期:2011年6月、9月 録音場所:ドレスデン、ゼンパーオーパー 録音方式:ステレオ(デジタル/ライヴ) プロフィ−ル CD PH12016(輸入盤 2枚組) オ−プンプライス ドイツ的な重厚さ満点。 20世紀初頭の大物3者の秘曲にティーレマンが挑戦! 20世紀初頭のドイツ音楽界に君臨した大物3名の作品を、ティーレマンとシュタ−ツカペレ・ドレスデンの演奏で聴くことのできる豪華ライヴ。いずれも当時大きな影響力を持ちながら、作風は全く異なるうえ、イタリア系のブゾーニと、モスクワ生まれのプフィッツナーは別の国の作曲家と言ってもよいほどで、仲も良くなかったと伝えられている。 この3作曲家は晦渋な音楽のイメージがあるが、ここに採りあげられた作品は例外的に親しみやすいものばかり。プフィッツナー唯一のピアノ協奏曲は1923年の作で、ギーゼキングに捧げられた作品。同じ年のヴァイオリン協奏曲の厭世性とは反対に、明るく英雄的な大曲である。ピアノ・パートは両手のオクターヴの連続や分厚い和音奏法が多用される難物で、被献呈者ギーゼキングの古い録音が決定盤とされているが、待望の新録音登場となる。深い森の中を彷徨うような緩徐楽章が魅力的。エッシェンバッハのお気に入りピアニストでもあるツィモン・バルトは、ティーレマンと同世代(4歳年下)で、ティーレマンからも可愛がられ本盤でも絶妙なアンサンブルを繰り広げている。 ブゾーニの『交響的夜曲』は1912年の充実期の作。濃密な情感にあふれたお化けが出てきそうな音楽。レーガーの『ロマンティック組曲』も1912年の作ですが、重厚長大なレーガーのイメージからほど遠い、ハープを多用したドビュッシーを思わせるフランス印象派的な雰囲気に驚かされる。「夜曲」「スケルツォ」「フィナーレ」の3曲から成り、レーガーならではの錯綜した対位法を駆使しながらも、疑バロック的な所は全くなく、カッコいいの一言に尽きる。 2014.05.18 Sunday
ベーム&ベルリン・フィル初出音源
ベーム&ベルリン・フィル初出音源
マーラー:歌曲集『亡き子をしのぶ歌』 R.シュトラウス:交響詩『ツァラトゥストラはかく語りき』 Op.30 ディ−トリヒ・フィッシャ−=ディ−スカウ(バリトン) ベルリン・フィルハ−モニ−管弦楽団 カ−ル・ベ−ム(指揮) 録音時期:1962年8月19日 録音場所:ザルツブルク、祝祭大劇場 録音方式:モノラル(ライヴ) テスタメント CD SBT21489(輸入盤) オ−プンプライス ベーム&ベルリン・フィル初出音源 1962年ザルツブルク音楽祭ライヴ テスタメントからベームの1962年ライヴ音源が登場。この頃のベームは、バイロイトに初登場して『トリスタン』で高い評価を獲得し、ウィーン響とはマタイ受難曲やベルクの『ルル』(オーストリア初演)を演奏、ロンドンではフィルハーモニア管と『コジ・ファン・トゥッテ』をセッション録音し、ベルリンではモーツァルトの交響曲第40番と41番をセッション録音するという具合に、体力・気力ともにたいへん充実していた頃。(ちなみに翌年にはベルリン・ドイツ・オペラとの初来日公演で迫力ある演奏を聴かせていたのであった。あれからもう半世紀もたったのだ!)。 そうした時期のベームが、当時黄金時代を迎えていたザルツブルク音楽祭に出演し、親しいベルリン・フィルを指揮して演奏したのが、今回登場するモーツァルトの40番に、マーラーの『亡き子をしのぶ歌』、そしてR.シュトラウスの『ツァラトゥストラはかく語りき』というプログラム。3曲ともにベームはベルリン・フィルとのセッション録音を行っているが、実演では思い切った指揮をおこなうことも多かったベームだけに、モノラル録音ながら、ここでの演奏も曝演そのもの。これがまさにベ−ムなのだ! 2014.04.16 Wednesday
カラヤン/ヴェルディ:レクィエム初出音源
カラヤン/ヴェルディ:レクィエム初出音源
レオンティン・プライス(ソプラノ) ジュリエッタ・シミオナ−ト(メゾ・ソプラノ) ジュゼッペ・ザンピエ−リ(テノール) ニコライ・ギャウロフ(バス) ウィーン楽友協会合唱団 ベルリン・フィルハ−モニ−管弦楽団 ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮) 録音時期:1962年8月9日 録音場所:ザルツブルク、祝祭大劇場 録音方式:モノラル(ライヴ) テスタメント CD SBT1491(輸入盤) オ−プンプライス ヴェルディ:レクィエム初出音源 カラヤン&ベルリン・フィル 1962年ザルツブルク・ライヴ カラヤンは27歳でヴェルディの『レクィエム』をとりあげて以来、得意レパートリーとして最晩年に至るまで半世紀以上に渡って数多く指揮をしている。今回登場する音源は、ベルリン・フィルを指揮して1962年8月にライヴ録音されたもので、同じザルツブルク音楽祭で1958年8月にライヴ録音されたウィーン・フィル盤との比較も面白いところ。 「リベラ・メ」での長大なソロがあるため注目度も高いソプラノは、カラヤンのお気に入りでもあったレオンティン・プライスが担当。彼女はカラヤンがスカラ座で指揮した時も参加している。このレクィエムの中でも特に人気のあるナンバーがテノールによる「インジェミスコ」だが、ここで歌うのは、力強い美声の持ち主、ジュゼッペ・ザンピエーリ。カラヤンとはスカラ座やウィーン国立歌劇場で多く共演し、前述1958年ウィーン・フィルとの演奏でも歌っている。そしてベテランのメゾ・ソプラノ、ジュリエッタ・シミオナートに、当時は新進気鋭のバスだったニコライ・ギャウロフもカラヤンお気に入りの歌手ということで、まさに「カラヤン・ファミリ−」といった様相だ。これだけの歌手を揃えた演奏が悪かろうはずがない。 2014.04.14 Monday
ヤンソンス&ウィーン・フィル 2012年ザルツブルク・ライヴ
ヤンソンス&ウィーン・フィル R.シュトラウス:交響詩『ドン・ファン』 Op.20 ワーグナー:ヴェーゼンドンク歌曲集 ブラームス:交響曲第1番ハ短調 Op.68 ニ−ナ・シュテンメ(ソプラノ) ウィーン・フィルハ−モニ−管弦楽団 マリス・ヤンソンス(指揮) 収録時期:2012年8月 収録場所:ザルツブルク音楽祭(ライヴ)
収録時間:95分 画面:カラー、16:9、1080i Full-HD 音声:PCMステレオ、DTS-HD Master Audio5.1 字幕:英、独、仏 ユ−ロア−ツ 2072624(輸入盤) オ−プンプライス
収録時間:95分 画面:カラー、16:9 音声:PCMステレオ2.0、ドルビーデジタル5.1 字幕:英、独、仏 NTSC ユ−ロア−ツ 2072628(輸入盤) オ−プンプライス 2012年ザルツブルク音楽祭のライヴ! ヤンソンス&ウィーン・フィル 充実のプログラムで聴かせる白熱の演奏 2012年ザルツブルク音楽祭のライヴ映像。2012年に共演20周年を迎えたマリス・ヤンソンスとウィーン・フィル(最初の共演は1992年のウィ−ン・コンツェルトハウスにおける『ミトロプ−ロス記念演奏会』)。ニューイヤー・コンサートに続きザルツブルク音楽祭でも相性抜群のコンビネーションと冴えわたる指揮振りで充実のプログラムを聴かせてくれている。 スペインの伝説上の人物ドン・ファンを主題としたニコラウス・レーナウの詩に基づいて作曲されたR.シュトラウスの交響詩第1作目の『ドン・ファン』。ウィーン・フィルの艶やかな音色としなやか表現力で、R.シュトラウスの魅力が凝縮された演奏も特筆すべき点であるが、R.シュトラウスを得意とするヤンソンスの巧みなドラマ作りと、磨き抜かれた響きは、まさにヤンソンスの独壇場ともいえる。スウェーデン出身現在絶好調のソプラノ、ニーナ・シュテンメが歌うワーグナーのヴェーゼンドンク歌曲集。そしてヤンソンスが実演でもよく取り上げ、バイエルン放響やオスロ・フィルとの共演盤でも高い完成度の音楽を披露しているブラームスの交響曲第1番。情緒溢れる旋律を描き出し、ウィーン・フィルの美麗な音色を引き出すヤンソンスの情熱が注ぎ込まれた演奏は、作品に新たな生命力を与えることに成功している。 2014.03.28 Friday
ヤンソンスの新・ベートーヴェン全集(東京&ミュンヘン・ライヴ2012)
ヤンソンスの新・ベートーヴェン全集(東京&ミュンヘン・ライヴ2012)
ベートーヴェン:交響曲第1番ハ長調 Op.21 録音時期:2012年11月27日 録音場所:東京、サントリーホール ヨハネス・マリア・シュタウト[1974-]:『マナイ』 (2011) 録音時期:2012年2月19日 録音場所:ミュンヘン、ヘルクレスザール ベートーヴェン:交響曲第2番ニ長調 Op.36 録音時期:2012年11月27日 録音場所:東京、サントリーホール 望月京[1969-]:『ニライ−ベートーヴェンの交響曲第2番&第6番へのインテルメッツォ』 録音時期:2012年11月8,9日 録音場所:ミュンヘン、ヘルクレスザール Disc2 ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調 Op.55『英雄』 録音時期:2012年10月18,19日 録音場所:ミュンヘン、ヘルクレスザール シチェドリン[1932-]:ベートーヴェンのハイリゲンシュタットの遺書−管弦楽のための交響的断章 (2008) 録音時期:2008年12月18,19日 録音場所:ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク Disc3 ベートーヴェン:交響曲第4番変ロ長調 Op.60 録音時期:2012年11月26日 録音場所:東京、サントリーホール ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調 Op.67『運命』 録音時期:2012年11月27日 録音場所:東京、サントリーホール ラミンタ・シャルクシュニーテ[1975-]:『炎』 (2010) 録音時期:2012年5月17,18日 録音場所:ミュンヘン、ヘルクレスザール Disc4 ベートーヴェン:交響曲第6番ヘ長調 Op.68『田園』 録音時期:2012年11月8,9日 録音場所:ミュンヘン、ヘルクレスザール カンチェリ[1935-]:混声合唱と管弦楽のための『Dixi』 (2009) 録音時期:2009年10月29,30日 録音場所:ミュンヘン、ヘルクレスザール Disc5 ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調 Op.92 録音時期:2012年11月30日 録音場所:東京、サントリーホール イェルク・ヴィトマン[1973-]:管弦楽のための演奏会用序曲『コンブリオ』 (2008) 録音時期:2008年9月25,26日 録音場所:ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク ベートーヴェン:交響曲第8番ヘ長調 Op.93 録音時期:2012年12月1日 録音場所:東京、サントリーホール Disc6 ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調 Op.125『合唱』 クリスティアーネ・カルク(ソプラノ) 藤村実穂子(アルト) ミヒャエル・シャーデ(テノール) ミヒャエル・ヴォッレ(バス) バイエルン放送合唱団 ペーター・ダイクストラ(合唱指揮) 録音時期:2012年12月1日 録音場所:東京、サントリーホール バイエルン放送交響楽団 マリス・ヤンソンス(指揮) 録音方式:ステレオ(デジタル/ライヴ) BRクラシック CD 900119(輸入盤 6枚組) オ−プンプライス
ヤンソンス&バイエルン放送交響楽団 2012年日本ツアーの感動、再び! 昨年、日本でおこなわれる交響曲全曲演奏会にあわせて、マリス・ヤンソンス&バイエルン放送交響楽団によるベートーヴェンの交響曲全集が登場して、ファンを沸かせたが、またまたこのコンビが『新』全集を発表した!しかも第3番と第6番以外はすべて来日公演のライヴ音源が使用されており、さらに6曲の現代作品が追加収録されているところが特徴的だ。 これらの現代作品は、ヤンソンスが作曲家たちに委嘱したもので、それぞれ「ベートーヴェンの交響曲から産み出された」内容となっているのが特徴。今回、こうしてベートーヴェン作品の間に置かれることによって、現代の社会におけるベートーヴェン受容のひとつの形として、非常に興味深い提案の形になっている。
今回の来日公演での全曲演奏会は数ヶ月前から大きな話題となり、実際の演奏に際しては、指揮者とオーケストラのコンディションが良かったこともあって、その現代的で俊敏、活気に満ちた演奏は高い評価をもって迎えられていた。今回の全集では、『第3番』(10月)、さらに来日直前の11月に『第6番』を、ヤンソンスのお気に入りであるヘルクレスザールでの演奏が使用し、それ以外の7曲を11月から12月にかけて行われた来日公演音源が使われているあたりにも演奏の好調ぶりがうかがえ、さらにヤンソンスの委嘱作と組み合わせることで、全集としての価値をさらに独自なものとなっている。また、ヤンソンスとバイエルン放送交響楽団のコンビでの10年目の節目であり、格段の絆の強さを誇る指揮者とオーケストラによる文句なしのベートーヴェン演奏は、並み居る同曲異演盤の中でも、輝く光を放つものとして、偉大なる金字塔として輝き続けるものになっている。 2014.03.25 Tuesday
ブリテン『戦争レクイエム』世界初演ライヴ
ブリテン『戦争レクイエム』世界初演ライヴ
ヘザ−ハ−パ−(ソプラノ) ピ−タ−・ピア−ズ(テノール) ディ−トリヒ・フィッシャ−=ディ−スカウ(バリトン) ジョン・クーパー(オルガン) コヴェントリー祝祭合唱団 聖トリニティ少年合唱団 メロス・アンサンブル(小アンサンブル) ベンジャミン・ブリテン(小アンサンブル指揮) バ−ミンガム市交響楽団 メレディス・デイヴィス(指揮) 録音時期:1962年5月 録音場所:イギリス、コヴェントリー大聖堂 録音方式:モノラル(ライヴ) テスタメント CD SBT1490(輸入盤) オ−プンプライス ブリテン『戦争レクィエム』世界初演ライヴ録音登場! ライナーノーツ日本語対訳付 2013年はブリテン生誕100周年ということもあって、多くのブリテン作品がリリースされ、代表作『戦争レクィエム』についても、ヤンソンス、マクリーシュ、パッパーノの新録音に、初出のアンチェルのライヴ録音などが発売された。今回登場する音源は、1962年5月におこなわれた『戦争レクィエム』世界初演のライヴ録音というもので、1940年のドイツ空軍の爆撃で瓦礫と化したコヴェントリー大聖堂を22年ぶりに再建することとなった記念の祝賀献堂式のために委嘱された作品という背景を考えると、非常に貴重なドキュメントといえる。 委嘱を受けたブリテンは、1960年から翌年にかけて、集中的に『戦争レクィエム』の作曲に取り組み、反戦の決意と平和への祈願を作品に投影させている。『戦争レクィエム』は、大小2群のオーケストラと混声合唱、3人の独唱者によって演奏され、全体は6つの楽章から成り、ラテン語による通常のミサ典礼文の間に、第一次世界大戦で殺された詩人ウィルフレッド・オーウェンによる英語の詩が挿入される変則的なスタイルで構成されている。ラテン語部分は合唱とソプラノが、英語の詩の部分は独唱者が担当。天使のような少年合唱やソプラノの澄み切った美しさから、金管セクションや打楽器、オルガンによる圧倒的なサウンドまで駆使したスコアにより、ショスタコーヴィチが20世紀最大の傑作と称えたことでも知られている。 初演の指揮は、ブリテンの信頼篤かったイギリスの指揮者で合唱指揮者のメレディス・デイヴィスが受け持ち、ブリテンは小オーケストラの指揮を担当、ソリストは、戦時中、アメリカ軍の捕虜となった経験のあるフィッシャー=ディースカウと、戦争直前にブリテンとともに渡米し、帰国後は良心的兵役拒否者となったピーター・ピアーズ、そして当初予定されていたヴィシネフスカヤがソ連政府の命令によりキャンセルとなったため、急遽出演することとなったヘザー・ハーパーが受け持った。この初演録音は歴史的にも非常重要なもので、ドキュメントとしての意義を詳述したライナーノーツも素晴らしく、しかも日本語対訳も付いているので、マニアには注目度の高いリリースだ。 2014.03.20 Thursday
50年前の伝説の『フィデリオ』全曲 ベルリン・ドイツ・オペラ
50年前の伝説の『フィデリオ』全曲 ベルリン・ドイツ・オペラ
レオノーレ:クリスタ・ル−トヴィヒ(ソプラノ) フロレスタン:ジェイムズ・キング(テノール) ドン・ピッツァロ:ウァルタ−・ベリ−(バス・バリトン) ロッコ:ヨ−ゼフ・グラインドル(バス) ドン・フェルナンド:ウィリアム・ドゥーリー(バス) マルツェリーネ:リサ・オットー(ソプラノ) ヤキーノ:マルティン・ヴァンティン(テノール)、他 演出:グスタフ・ルドルフ・ゼルナー 装置、衣装:ヴィルヘルム・ラインキング ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団&合唱団 アルトゥ−ル・ロ−タ−(指揮) 収録時期:1963年4月 収録場所:ベルリン・ドイツ・オペラ(ライヴ) 収録時間:124分 画面:モノクロ、4:3 NTSC Region All 音声:PCMモノラル 字幕:独、英、仏、西、伊、韓、日 アルトハウス DVD 101597(輸入盤) オ−プンプライス ベルリン・ドイツ・オペラの歴史的名演 ベートーヴェン:『フィデリオ』 ルートヴィヒ、キング、ローター指揮 日本語字幕付き 1912年11月7日、ベルリン市立歌劇場として『フィデリオ』でオープン(音楽監督:イグナーツ・ワーグハルター)し、以降、たびたび名称を変更し、またブルーノ・ワルター、アルトゥール・ローターを始め、数多くの大指揮者を監督とし、その歴史を紡いできた旧西ベルリン唯一の歌劇場、ベルリン・ドイツ・オペラ。 1943年には空襲で建物が破壊されるも1961年に再建され、その際にはフリッチャイの『ドン・ジョヴァンニ』でこけら落としが行われ、この模様は映像(ARTHAUS101574に収録)でも観ることができる。ここでは創立50周年を記念する公演として、また我が国のオペラ史に燦然と輝く初の本格的引越公演としても上演された『フィデリオ』である。 1963年10月に東京日比谷に落成した日生劇場のこけら落とし公演では、指揮者はカール・ベームで、初日にはドン・フェルナンドにフィッシャー=ディースカウが出演するという豪華版だったが、この映像は、その年春の公演のライヴである。来日時のほぼ同じキャスト、スタッフが名を連ねている。ただし指揮者はベームではなく、アルトゥール・ローターだ。 ローターは空白期間はあるものの、1934年からずっとこの歌劇場に関与し、多くの演奏を行ってきた人で、彼の指揮はベームに比べるとさすがに生ぬるいが、手堅さが取り得の演奏。歌手にはすでに国際的名声を得ていたクリスタ・ルートヴィヒ、メトロポリタン歌劇場で名を馳せていたジェームズ・キング、当時33歳の新鋭ヴァルター・ベリー、そしてバイロイトを中心に活躍していたヨーゼフ・グラインドルと、当時最高の「ドイツ・オペラの歌い手」が集結した理想的なキャストが揃っていて、いずれも歌の巧さを超えたキャラクターの把握ということで見事な成果をあげている。合唱も初来日時の批評にあるとおり、圧倒的な迫力で、特筆すべきものがある。なお「レオノーレ」序曲第3番は演奏されていない。 演出はグスタフ・ルドルフ・ゼルナー。彼は当時この歌劇場のインテンダントだった人で、映像を観ると、奥行きの知れない暗黒の世界に簡素な小道具を置いた象徴的な舞台であり、それだけに第2幕の明るい最後の場面が生きている。今でこそ珍しくない手法ではあるが、当時の日本のオペラ界に大きな衝撃を与えた事件だったことは今なお強く記憶に焼きついている。映像はモノクロ、録音はモノーラルで、日本語字幕あり。 2014.03.17 Monday
ヤンソンス/ベートーヴェン:交響曲全集(映像)
ヤンソンス/ベートーヴェン:交響曲全集(映像)
ベートーヴェン:交響曲第4番変ロ長調 op.60 ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調 op.55『英雄』 収録時期:2012年11月26日 特典映像:マリス・ヤンソンス インタビュー(約9分) Disc2 ベートーヴェン:交響曲第1番ハ長調 op.21 ベートーヴェン:交響曲第2番ニ長調 op.36 ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調 op.67 伝ハイドン:弦楽四重奏曲ヘ長調 op.3-5『セレナード』から第2楽章(アンコール) 収録時期:2012年11月27日 Disc3 ベートーヴェン:交響曲第6番ヘ長調 op.68『田園』 ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調 op.92 シューベルト/ティエルオ編:『楽興の時』第3番 D.780(アンコール) 収録時期:2012年11月30日 Disc4 ベートーヴェン:交響曲第8番ヘ長調 op.93 ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調 op.125『合唱』 クリスティアーネ・カルク(ソプラノ) 藤村実穂子(アルト) ミヒャエル・シャーデ(テノール) ミヒャエル・フォレ(バス) バイエルン放送合唱団 バイエルン放送交響楽団 マリス・ヤンソンス(指揮) 収録時期:2012年12月1日 収録場所:東京、サントリーホール(ライヴ)
収録時間:本編391分、特典9分 画面:カラー、1920×1080i FullHD 音声:96Khz/24bit 2chリニアPCM、5.0chリニアPCM/5.0chドルビーデジタル 字幕:日本語 NHKエンタ−プライズ NSBX18602(4枚組) ¥28,560
収録時間:本編391分、特典9分 画面:カラー、16:9 音声:2chリニアPCM/5.0chドルビーデジタル 字幕:日本語 NTSC NHKエンタ−プライズ NSDX18607(4枚組) ¥19,740 満を持して開催された2012年の日本公演の歴史的記録が映像でリリース! マリス・ヤンソンス&バイエルン放送交響楽団 ベートーヴェン:交響曲全集 今年70歳を迎えたヤンソンスの破竹の勢いは止まらない。昨年発売された同コンビによる日本公演の直前まで録音を行っていたBRクラシック・レーベルの『ベートーヴェン:交響曲全集』のCDでは、現代オケの到達点とも言える演奏水準を確保した上で、ヤンソンスの『今』のベートーヴェン解釈が興味深く散りばめられていた。今回発売される映像は
「ベートーヴェン・ツィクルス」として開催された両者の昨年来日時のもので、全てサントリー・ホールでのNHKによる収録で、アンコール曲も収録されている。ヤンソンスの基本的な解釈は前出のCDと同じとはいえ、そこにはさらにその場に同席したものにしかわからない〈感興〉が加わり、極めて魅力的な映像作品となっている。
この映像全集では、サントリーホールでおこなわれた4日間の公演を、高音質&高画質で丸ごと収められている。ヤンソンスのベートーヴェン解釈は、既に多くが語られているのでここでは蛇足であろう。ひとつ言えるのは、例えコンサートに行けなかったとしても、今や追体験が容易にできるという事。もしかして当日聴いた席より環境が上かも知れない、としたら微妙に困ったことになるかも知れないが・・・。 尚、今回発売されるDVDバージョンではなく、もう一方のブルーレイの方ではさらなるアドヴァンテージがある。通常の5.0チャンネルサラウンドに加えて、2チャンネルの24bit/96kHzの非圧縮のハイレゾ音源が何と収録されている。例えばこのブルーレイ音源を通常のステレオ装置に繋げば、映像はなくても、ハイレゾの高品位オーディオ音源としても機能する。ブルーレイでは映像も画質が優れているし、さらに音質にも気が配られているのだ。 2014.03.07 Friday
ブラームス:交響曲第2番&ヤナーチェク:グラゴル・ミサ ヤンソンス&バイエルン放送響
ブラームス:交響曲第2番&ヤナーチェク:グラゴル・ミサ
2. ヤナーチェク:グラゴル・ミサ タチアナ・モノガロワ(ソプラノ:2) マリナ・プルデンスカヤ(メゾ・ソプラノ:2) ルドヴィット・ルーダ(テノール:2) ペーター・ミクラーシュ(バス:2) イヴェタ・アプカルナ(オルガン:2) バイエルン放送合唱団(2) バイエルン放送交響楽団 マリス・ヤンソンス(指揮) 収録時期:2012年4月 収録場所:ルツェルン、KKLコンサート・ホール(ライヴ)
収録時間:88分 画面:カラー、16:9、1080i High Definition 音声:PCMステレオ2.0、dts-HDマスターオーディオ5.0 字幕:独、英、仏、韓 アルトハウス 108080(輸入盤) オ−プンプライス
収録時間:88分 画面:カラー、16:9 音声:PCMステレオ2.0、ドルビーデジタル5.0 字幕:独、英、仏、韓 NTSC アルトハウス 101684(輸入盤) オ−プンプライス ブラームス:交響曲第2番&ヤナーチェク:グラゴル・ミサ マリス・ヤンソンス&バイエルン放送交響楽団 先頃、2018年までバイエルン放送響との契約延長が決定した名指揮者マリス・ヤンソンス。これまで以上に素晴らしい演奏を次々と繰り出してくることは間違いなしなのだが、今回も魅力的な1枚が登場した。スイス・ルツェルンでの復活祭のコンサ−トを収録したものだ。 そんなヤンソンスのブラームスは、以前にも聴く機会があったが、ヤンソンスはブラームスの交響曲第2番を得意としており、CDでもすでにオスロ・フィル、コンセルトヘボウ管弦楽団、バイエルン放送交響楽団との録音がリリースされており、どれも高い評価を受けているので、今回の映像作品でのリリースも楽しみなところ。ブラームスはいつもの如く流麗で、つぼをついた解釈。全てが躍動的であり力強さも存分に備えている納得の演奏だ。 一方、ヤナーチェクの「グラゴル・ミサ」についてはレアな選曲と言ってもよいだろう。ヤナーチェクが、古代スラヴ語であるグラゴル文字の典礼文を用いた大作『グラゴル・ミサ』については、近代管弦楽法の充実した書法や、ユニークな声楽の扱いなど、ヤンソンスが得意そうな要素を多く含む作品ということもあり、こちらにも期待ができる。ヤナーチェク晩年の作品であり、崇高な理念と愛の精神が結びつけられた熱い音楽で、ここでは演奏者、指揮者、歌手、合唱、そしてオルガンの全てが融合、音による巨大な大伽藍が構築されている。ソリストたちの熱唱もさることながら、これまた特異な才能の持ち主として知られる女性オルガニスト、イヴェタ・アプカルナの目もくらむような虹色の音色にも眩惑されること間違いなし。 2014.02.07 Friday
F=ディースカウとポリーニの一期一会の『冬の旅』
F=ディースカウとポリーニの一期一会の『冬の旅』
ディ−トリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン) マウリツィオ・ポリ−ニ(ピアノ) 録音時期:1978年8月23日 録音場所:ザルツブルク音楽祭、ザルツブルク祝祭小劇場 録音方式:ステレオ(アナログ/ライヴ) オルフェオ(オルフェオド−ル) CD ORFEOR884131(輸入盤) オ−プンプライス シューベルト『冬の旅』 フィッシャー=ディースカウとポリーニの伝説のライヴ! 凄い音源の登場だ!伝説となっているフィッシャー=ディースカウとポリーニの『冬の旅』がついに日の目を見るという一大事なのだ!これは、フィッシャー=ディースカウとポリーニが、1978年のザルツブルク音楽祭でたった一度だけ実現させた『冬の旅』。当時NHKFMで放送され、今日でも語り草となっているだけでなく、「音源を捜しあててCD化して欲しい演奏」の筆頭とされてきた。それがついに正規発売となる。 フィッシャー=ディースカウとポリーニという当時最高のスターの共演も驚きながら、ポリーニが歌曲の伴奏をしているという点も非常に珍しいことで、フィッシャー=ディースカウは過去にデームス、ブレンデル、バレンボイム、ペライア、シフとも録音を残しており、ザルツブルクでも多くのリサイタルが音源となっているが、このポリーニの巧さ、表現力はまさに別次元で、『冬の旅』録音史上、これほど見事なピアノ伴奏はないと断言できよう。また、当時53歳のフィッシャー=ディースカウも若々しさと、何かが憑依したような表現力が鬼気迫る世界を作り、シューベルト晩年の音楽の深さ、怖さを垣間見させてくれている。 『冬の旅』を語る上で、絶対に避けて通ることができぬ金字塔というべきCDであるのは間違いなし。誰もが必携のアルバム。とにかく、だまされたと思って聴いてほしい、そのくらい凄い演奏、本当に凄いんです!
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