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クラシック専門 音楽マネジメント
2010.01.29 Friday
欧州クラシック通信(2010.01.29.)
クリ−ブランド管のストライキ決行と経営危機 アメリカのビッグ5オーケストラのひとつ、クリーブランド・オーケストラが折からの収入減で危機に陥っている模様であるとアメリカの一部マスコミが報じていることで、音楽界に激震が走っている。クリーブランドはオハイオ州の中心都市であり、同管弦楽団は1918年創立。アルトゥ−ル・ロジンスキ、ジョ−ジ・セル、ロリン・マゼ−ル、クリストフ・フォン・ドホナ−ニらの歴代指揮者によりトップクラスのオ−ケストラに成長、2002年からはフランツ・ウェルザ−=メスト(今年9月からはウィ−ン国立歌劇場音楽総監督も兼務)が音楽監督を務めている。アメリカのオーケストラで最もヨーロッパ的な響きのするオーケストラと認められており、世界屈指のオーケストラのひとつでもある。 原因はクリーブランドの人口がピーク時の半分しかないところに、一昨年9月のリ−マン・ショックの影響が追い討ちをかけたのであるが、それと当時に楽団員や音楽監督に支払う人件費の高止まりも一端であると言われている。例えば音楽監督のフランツ・ウェルザ−=メストには、2008年に約140万ドル(約1億1800万円)を、コンサ−トマスタ−は給料と福利厚生費合わせて43万ドル(4千万円ほど)、楽団員の平均が14万ドル(1260万円)も支払われているらしい。そのためオ−ケストラ事務局は音楽監督の報酬を20%削減すると発表し、さらに楽団員も5〜10%引き下げる案を提案。これに反発したオーケストラの組合はストライキを決行、公演が中止に追い込まれる事態を招いた。 クリ−ブランド管弦楽団の音楽監督 フランツ・ウェルザ−=メスト 同管は以前から地元だけでなく、クリーブランド以外の拠点をつくることを模索しており、現在冬場にはフロリダ州のマイアミへ、また週単位でウィ−ン(楽友協会)、ザルツブルグ音楽祭、ルツェルン音楽祭、ニューヨーク(リンカーン・センター)などとレジデンシー契約をして活路を見出しているのも事実で、楽団員はツアーが多くて大変だが、オ−ケストラにとっては生命線であり、この試みは今までにないチャレンジをしてきている。結局のところ、クリーブランドでは、もうビッグ・オーケストラを支えきれないという厳然たる事実に尽きるのだという声がもっぱらだと言うことだろうか。 アメリカでは、その他のビック・オ−ケストラでも同様の事態が起きており、ニューヨークフィルでさえも2009年には6450万ドルの予算のうち460万ドル不足で、今年も400万ドルの赤字が見込まれているし、フィラデルフィア管は楽団員の平均給与を4.8%カットすると表明、健全経営を誇るボストン響も厳しく、こちらは管理部門のスタッフ10名を解雇。シガコ響もこの景気後退期にオーケストラが削れるのは人件費しかなく、楽団員の給料カットやむなしとしている。また同オケは2010年から客演指揮者とソリストの費用を現在よりも年間200万ドル(約1億8千万円)削減すると発表し、さらに最大のコスト・アップ要因である音楽監督のギャラについて、カラヤン、バーンスタインの時代に吊り上がったままであり、過去の負の遺産なのだから、適正水準にすべきであるとしている。 アメリカのオ−ケストラは寄付によって成り立っており、ヨ−ロッパのように市や州などの公的機関からの補助金が主な財源なのでただちに関係してくるものではないが、いずれにしても今後の音楽業界にとっては重大な出来事の始まりになることは間違いないだろう。 文:三宅坂 幸太郎(音楽ジャ−ナリスト) 2010.01.29 Friday
グールド&カラヤン/ベルリン・ライヴ1957
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番ハ短調 op.37 シベリウス:交響曲第5番変ホ長調 op.82 グレン・グ−ルド(ピアノ) ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/ベルリン・フィルハ−モニ−管弦楽団 録音:1957年5月24日、ベルリン高等音楽院ホール(ライヴ、モノラル) 番号:SICC908 価格:¥2,520 初登場! シベリウスの交響曲第5番 グールド&カラヤン/ベルリン・ライヴ1957 イタリア盤などでも既に有名なグールドとカラヤンによるベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番に加え、今回が初登場となる演奏会のメイン・プロ、シベリウスの交響曲第5番を収録した注目盤。カラヤン生誕100周年の今年、またひとつ貴重な音源がリリースされる。この放送音源の存在そのものは、以前から知られていたが、正規盤での登場は今回が初めてとなる。 コンサート当日は、ベートーヴェンの前にヒンデミットの交響曲『画家マティス』が演奏され、休憩を挟んだ後半にはシベリウスの交響曲第5番が演奏されるというプログラム。カラヤンはシベリウスの第5番を4度もスタジオ録音、作曲者の故郷フィンランドでの公演でも披露したカラヤンの独壇場とも言うべき得意の曲目。今回はライヴということもあり、スタジオ録音では考えられないくらいのカラヤンらしからぬ爆演でたいへん注目される演奏である。まさに避けて通れない銘盤と思う。 なお、当CDは音声トラック以外にもデータの入ったエンハンスト仕様となっており、パソコンのCDドライブで読み込むと、写真入り全12ページの当時の演奏会プログラムをPDF化したファイルを閲覧することができる特典付きとなっている。 2010.01.29 Friday
大阪シンフォニカーが芸術祭「大賞」を受賞
大阪シンフォニカ−交響楽団の音楽監督・首席指揮者の児玉 宏
2010.01.28 Thursday
欧州クラシック通信(2010.01.18.)
ベルリン州立歌劇場の改装と音響改善の追加工事 ベルリン州立歌劇場(リンデン・オ−パ−)は、今年9月より劇場の改装を予定しているが、今回の工事では新たに反響空間が拡大されることになった。これは音響改善をねらってのもので、天井を1階分上げ、4メートル高くして4階席の上に(座席のない)スペースが増設されるという。当初改築は、客席をモダン化することになっていたが、世論の反対により戦後再建時のロココ風の美しい馬蹄形劇場が維持されることになった。現在反響は調整装置なしの状態で1.1秒だが、改装後には1.6秒になるとのこと。GMDのバレンポイムは、「新しいホールの音響は天気予報みたいなもので、実際のところは完成してみないとわからない。もちろん満足できるとはいけないけれど、音響面では向上する。でも視覚面では良くなるとは言えない。」と言っている。その他の改善は、座席の幅が現行の50センチから55センチに広がり、トイレも増えるそうである。改装に要する費用は1億2千6百万ユーロで、州立歌劇場は、来シーズンより2013年秋まで閉鎖され、2013年10月にオープンする予定。公演は3シーズンの間、西側の旧シラー劇場で行われる。 2010.01.27 Wednesday
フリ−ドリヒ・グルダの10回目の命日に想う
今日は名ピアニスト、フリ−ドリヒ・グルダの10回目の命日だ。
1950年代から60年代にかけて、デムスやスコダと並んで“ウィ−ンの三羽烏”と言われたグルダ。私にとって伝説のピアニストであり、その音楽の素晴らしさと、時折聞こえてくる彼の奇行から、ぜひとも聴いてみたいア−ティストのひとりとなっていた。そんな時、1993年に久しぶりに来日すると言うからぜひとも聴きたいと思い、徹夜してチケットをゲットしたものだった。 11月15日、東京・渋谷のオ−チャ−ドホ−ルでのリサイタル、曲目は自身がト−クしながら発表と言うことで期待と不安が入り混じったまま着席。照明が変わり、やがて下手からいつもの帽子を被ったグルダが登場、曲によってクラヴィノ−バとピアノを弾き分けながらの演奏に、夢見心地の時間だった。アンコ−ルで聴衆に向かってグルダが「なにか聴きたい曲はあるかい?」と尋ねるとすかさずひとりが「アリア!」と叫ぶ。するとお客さんから拍手が起こり、グルダが「私の曲でもいいのかね!?」と言うとピアノに向かって弾き始めた。その素晴らしかったこと! 1999年の12月に突然ウィ−ンからニュ−スが飛び込んできた。それは翌年の5月15日にグルダの70歳(本当の誕生日は翌16日)を記念したバ−スデ−・コンサ−トを開催し大々的にお祝いするという。しかもモ−ツァルトの協奏曲2曲を弾き振りし、共演はウィ−ンフィル(同時にライブ録音を実施!)と言うからビックリ!これはなんとしてでも行かなきゃ!と待ち構えた矢先だった。翌月の1月27日、奇しくもモ−ツァルトの誕生日に彼は亡くなったのだ。私はその訃報を、たまたまヨ−ロッパ出張先のベルリンで聞いた。すぐに彼の息子でピアニストのリコ・グルダに連絡を取り、お悔みと2月2日に行われる葬儀に参列の意向を伝えた。その日の哀しみといったら相当だったのだろう、その日の記憶があまりないくらいだから、そのくらいショックな1日であった。葬儀の帰り道、ウィ−ンまで送ってくれた車中で、直後に日本で公演があるマルタ・アルゲリッチと一緒だったが、乗り合わせた誰もが一言も発することなく帰ったのが印象的だった。 彼の70歳のバ−スデ−・コンサ−トは、ウィ−ン・コンツェルトハウスで企画を変えて『グルダへの追憶』と題したメモリアル・コンサ−トとして実施された。第1部はウィ−ンフィルの演奏(指揮者なし)で、バッハのアリア、ベ−ト−ヴェンの第4交響曲の第2楽章、そしてグルダのふたりの息子、パウルとリコを独奏にモ−ツァルトの2台のピアノのための協奏曲を演奏。第2部はバッハの無伴奏チェロ組曲よりサラバンドをハインリッヒ・シフの独奏。グルダのチェロ協奏曲を、クレメンス・ハ−ゲンの独奏とウィ−ン響の管楽メンバ−の共演、それにラヴェルの「ラ・ヴァルス」。当初はアルゲリッチとフレイレだったが、アルゲリッチの実父の病気(ブエノスアイレスの病院の集中治療室にいたそうだ)のためやむを得ずキャンセル。音楽上の父であったグルダのメモリアル・コンサ−トに実父の重体とはなんとも皮肉な巡り合わせだ。そして第3部はジャズ・セッション、終演後のディスコ・パ−ティ−と、いかにもグルダらしい『追憶コンサ−ト』だった。
2005年の没後5年には、各地でメモリアル・コンサ−トが開催された。まず命日の1月27日は東京・すみだトリフォニ−ホ−ルで新日本フィルとクリスティアン・アルミンクの指揮、マルタ・アルゲリッチ、パウル&リコ・グルダ、ルノ−(ヴァイオリン)&ゴ−ディエ(チェロ)・カプソンらが集い(このコンサ−トの模様はDVDになって発売中である)、また7月19日はドイツ・ミュンヘンのバイエルン州立歌劇場(ナツィオナル劇場)でミュンヘン室内管にアルゲリッチ、パウル(指揮も)&リコ、ガフリエラ・モンテロ(ピアノ)、ゴ−ディエ・カプソン(チェロ)によって開催している。 果たして今年はなにか記念のコンサ−トはあるのか?どっちにしても今夜は、グルダのショパンを聴きながら彼を悼みたいと思う。 2010.01.27 Wednesday
欧州クラシック通信(2010.01.27.)
ラン・ラン DGからソニ−BMGに移籍か?? 関係者によると、中国人ピアニストのランランが長年CDをリリースしてきたDG(ドイチュ・グラモフォン)からライバルのソニーBMGに移籍するらしいとのこと。現時点ではランランのマネージメントもDGならびにソニーBMGからも公式発表はないが、2月中旬に公式プレス・コンファレンスが予定されている。 移籍の理由はソニー側が提示したゲーム・コンソール上での広告に関する契約だそうで、ソニーはゲーム機などのソフトにランランのCDの広告を入れることができ、ラン・ラン側もメリットを感じたようだ。最近はCDの売り上げが全体的に減少しており、様々な広告によるCD自体の売り上げ増とア−ティストの知名度アップ、さらに演奏活動に有利になるといった相乗効果を狙っているというのが本音のようだ。 文:三宅坂 幸太郎(音楽ジャ−ナリスト) 2010.01.26 Tuesday
オペラは「アラベッラ」で開幕 新国立劇場の来シーズン
新国立劇場(東京・初台)の来シーズンのラインアップが発表された。15日には、次期オペラ芸術監督の尾高忠明、次期舞踊芸術監督のデヴィッド・ビントレー、次期演劇芸術監督の宮田慶子が出席して発表会見が行われ、尾高氏は「広い聴衆の方に、広いレパートリーで質を高めた公演を楽しんでもらいたい。新国立劇場のオペラ部門の存在が強くなってほしい」と抱負を述べた。 10月から始まる尾高の最初のシーズンは、リヒャルト・シュトラウス作曲「アラベッラ」で幕を開ける。ドイツ出身のウルフ・シルマーが指揮、フィリップ・アルローが演出、美術、照明、森英恵が衣装を担当する。尾高は「胸を打つオペラで始めたいと思って選びました。アルローさんの演出プランと森さんの衣装が相まって、本当にきれいな舞台になると思います」と語っている。
R・シュトラウス「アラベッラ」(新演出) フィリップ・アルロー演出、ウルフ・シルマー/東京フィル(10月2日より6公演)
2010.01.26 Tuesday
欧州クラシック通信(2010.01.26.)
ウィ−ンフィルのシェーンブルン野外コンサート 小澤の代役決定
2010.01.25 Monday
ヴェルザー=メスト/ブルックナー9番(DVD)
ブルックナー:交響曲第9番ニ短調 WAB 109 フランツ・ヴェルザ−=メスト(指揮)/クリ-ブランド管弦楽団 収録:2007年10月、ウィーン、ムジークフェラインザール(ライヴ) 特典映像:ヴェルザー=メストによるイントロダクション 収録時間:本編64分、特典18分 画面:カラー、16:9 音声:PCMステレオ、ドルビーデジタル5.1、DTS 5.1 NTSC Region All(輸入盤) ヴェルザー=メスト&クリーヴランド管のブルックナー交響曲第9番 ウィーン・ムジークフェライン・ライヴ! ザンクト・フローリアンの長大な残響の中での第5番(NHK・BSでもオン・エア−)が大好評だったヴェルザー=メスト&クリーヴランド管のコンビによる第9番のライブ映像。今回は独墺系音楽に関して世界最高の音響を持つとされるウィーンの楽友協会大ホ−ルでのものだ。 2007年10月31日と11月1日に行われたコンサ−トの模様を収録したもの。このウィ−ン客演時にメスト/クリ−ヴランドは3種類のプログラム(ベ−ト−ヴェンの第7交響曲がメインと、マ−ラ−の『復活』交響曲)を披露した。筆者はちょうど同時期にウィ−ンを訪ねていて、別の2プログラムは鑑賞したのだが、残念ながら当プログラムは別の公演(国立歌劇場にてR.シュトラウスの『エレクトラ』とチャイコフスキ−の『スペ−ドの女王』)を鑑賞したため聴くことができなかった。そこで特別な許可を取ってリハ−サルだけでも聴きたいと思っていたのだが、やはり収録前のリハ−サルだけに許可が下りず、結局聴けずじまいになっていたのだった。しかしながらこのディスクでようやくその演奏に触れることができることとなったわけだ。 収録時間だけを見るとそんなに速いテンポには感じないのだが、なぜか演奏を聴いているとテンポが速く感じるのは私だけなのだろうか?しかしながら演奏はとてもよい。アメリカのオ−ケストラの中で一番ヨ−ロッパのオ−ケストラの雰囲気を持つといわれるクリ−ヴランド管の高度な音楽性と機能性をいかんなく発揮している。また個人的なことであるが、チュ−バの杉山康人氏が吹いていること。彼はウィ−ン国立歌劇場管弦楽団を退団後、クリ−ヴランドの首席として着任したのだ。優秀な日本人奏者が海外で活躍することはとてもよいことである。 いずれにしても個人的好みは別として、非常に高水準の演奏がこのディスクに残されていることは好ましい。国内盤の発売も望みたい。 2010.01.25 Monday
アルカディアに新たなア−ティストが誕生しました!
江川敦子(ピアノ)が新たに弊社所属ア−ティストになりました 今後は弊社のマネ−ジメントにより、国際的なア−ティストとの共演やレコ−ディングなどを通し、音楽面におけるさらなる飛躍が期待されます。
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