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短期集中連載 ドイツ・ビ−ル紀行(第5回)

短期集中連載

                    

ドイツ・ビ−ル紀行(第5回)

 

ドイツの代表的ビール(その2)

 

まろやかでフルーティーな上面発酵ビール

 

Weißbier(ヴァイスビア)/Weizenbier(ヴァイツェンビア)
 地域:南ドイツ  アルコール度数:約5.4

 




ヴァイスビア(ヴァイツェンビア)は、中世以来、バイエルン地方を中心に南ドイツで飲み継がれてきたバイエルン特産の白ビール。バイエルンでは今でもビールと言えばヴァイスビアが常識。ヴァイスビアには色のバリエーションがあり、伝統的なのはヘーフェ(ドイツ語で酵母の意味)をろ過せず、濁りを残した「ヘーフェヴァイツェン(Hefeweizen)」で、色は淡色のヘル(Hell)と濃色のドゥンケル(Dunkel)の二種類。ヘルは黄色っぽく、ドゥンケルは琥珀色に近いです。酵母をろ過した透き通ったタイプもあり「クリスタル(Kristall)」と呼ばれている。

 

いずれも原料の最低50%が小麦であることが条件で、少し濁った感じの色が特徴。味は実にまろやかで甘みがあり、とってもフルーティー。炭酸が効いているため、フレッシュな味わいも楽しめる。醸造元の多くは、主発酵の後でボトリングし、ボトル内で発酵を完了させる方法をとっている。アルコール度数が高めで少しくせのあるビールなので、ちょっと苦手な人もいるかもしれないが、この手の味が好きな人はハマること請け合い。

 

最近ではヴァイスビアの人気もバイエルン州に留まらず、北の方へ徐々に広がってきているよう。と言っても北部でヴァイスビアを飲める場所はごくごく限られているし、どうせなら「バイエルンビールの代名詞」とも言えるヴァイスビアは、ぜひバイエルンで飲みたいところ。ヴァイスビアには、下の方が細くなっている専用のグラス(容量0.5リットル)があり、レストランなどでは必ずこのグラスで出される。日本ではめったに味わえないビールなので、試してみる価値大!

 

 

Kölsch(ケルシュ)
 地域:ケルンとその近郊  アルコール度数:約4.8




ケルシュは、ケルンとその近郊でのみ醸造することが許可されているケルン人誇りのビール。0.2リットルの細長いケルシュグラスもドイツではとても有名。ケルンの街の至るところで、ホップの苦みが効いた淡い黄色のケルシュを、この細長いグラスでグイッと飲み干す姿が見られる。

 

                     

Altbier(アルトビア)
 地域:デュッセルドルフとその近郊  アルコール度数:約4.8

 




伝統的な醸造法で作られるアルトビアは、濃い琥珀色でフレッシュなホップの苦味が効いているビール。Altbier というドイツ語は「古いビール」という意味で、旧式の醸造法である上面発酵を指している。アルトビールの起源はデュッセツドルフと北ライン地方だが、今ではドイツ全国で広く飲まれている。デュッセルドルフの人々にこよなく愛されていて、地元では「Alt(アルト)」と略して呼ばれている。量はケルシュと同じく0.2リットルだが、ケルシュグラスのように細長くはなく、少しずん胴なグラスで出される。ケルンとデュッセルドルフは立地的に近くなのだが、それぞれ異なるビールがあり、どちらも自分たちのビールに誇りを持っているところが面白い。

 

 

Berliner Weiße(ベルリーナー・ヴァイセ)
 地域:ベルリンとその近郊  アルコール度数:約2.8




ベルリーナー・ヴァイセは小麦入りのビールで、ラズベリーまたはWaldmeister(ヴァルトマイスター)という香草のシロップを加えて飲むのが一般的。シロップを入れるため甘くなり、アルコール度数が低いことからも、女性に人気のビール。軽やかな味わいで、わずかに酸味も効いているため夏にぴったり。ラードラーもこの一種。

 

 

ここでは代表的な種類のみご紹介したが、これだけの種類を全部試すのもけっこう大変だ。ヴァイスビアは北ドイツではほとんど飲めないし、ケルシュはケルンにしかないので、自分の足で飲み歩かねばならないのだが、それこそ旅の醍醐味であって、新たな街を訪れるごとにその地元のビールを試してみて、あなたのお気に入りのビールを見つけるのもドイツの旅の楽しみのひとつだと言える。また同じ種類でもメーカーごとに少しずつ味が違うので、それらを比べてみるのも面白いと思う。

 

 

 

 

 
| 短期集中連載 ドイツ・ビ−ル紀行 | 09:58 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事
ブニアティシヴィリ/リスト作品集

ブニアティシヴィリ/リスト作品集

 




フランツ・リスト:

『愛の夢』第3番変イ長調 S.541-3

ピアノ・ソナタ ロ短調 S.178

メフィスト・ワルツ第1番『村の居酒屋での踊り』 S.514

『悲しみのゴンドラ』第2稿 S.200/2

前奏曲とフーガ イ短調 BWV.543J.S.バッハ曲/リスト編曲 S.462-1

 

カティア・ブニアティシヴィリ(ピアノ)

 

録音時期:20101010-14

録音場所:ベルリン、マイスターザール

録音方式:デジタル(セッション)

 

ソニ−ミュ−ジック CD SICC1451 2,520

 

 

フランツ・リスト:ピアノ作品集  カティア・ブニアティシヴィリ デビュ−

 

数多くのすぐれた音楽家を輩出してきた国グルジアからまたまた新星が登場。その名もカティア・ブニアティシヴィリ。まだ23歳という若さながら、マルタ・アルゲリッチやギドン・クレーメル、パーヴォ・ヤルヴィといった偉大なアーティストからも賞賛され、ソニー・クラシカルと専属契約を結んだ彼女がソロ・デビュー作に選んだのは、2011年が生誕200年というフランツ・リストの作品集。

 

カティア・ブニアティシヴィリは、1987年グルジアのトビリシ生まれ。トビリシ中央音楽学校を卒業後、トビリシ国立音楽院に入学。6歳よりリサイタルやオーケストラとの共演を行っている。12歳から本格的に演奏活動を行っており、ルガーノ、ジュネーヴ、ヴェルビエ、サンクト・ペテルブルク等の音楽祭にも招かれているのをはじめとして、多くのヨーロッパの主要なホールで演奏会を行っている。

 

2003年ホロヴィッツ国際コンクールでは特別賞受賞。 2008年にはショパン:ピアノ協奏曲第2番でカーネギー・ホールにデビュー。同年アルトゥール・ルービンシュタイン国際ピアノ・コンクール3位並びに最優秀ショパン演奏賞、オーディエンス・フェイバリット賞受賞という輝かしい経歴を持っている。

 

以前彼女は、「アルゲリッチに憧れる」と語ったそうであるが、もちろん周囲も、彼女は「アルゲリッチの再来」と呼ばれているだけあって、彷彿とさせるほどの演奏、マグマが噴出するような激しいテンペラメントを聴かせている。まだ若いからだろうか、荒削りな所は致し方ない(それもある意味アルゲリッチゆずり?)。

 




耳を澄ませば、リストの世界観が見事に立ち現れる。空間構築力と描写力が抜きんでた演奏。音楽に対する踏み込みの良さが半端じゃない。ソナタでは、ブニアティシヴィリ自身がライナ−ノ−トでも記しているように、この曲のサブテキストがゲーテの「ファウスト」であると見るならば、コーダでは悪魔メフィストが闘いに敗れ、ついにファウストが女性的なものに包まれながら救済されるという静かな勝利が描かれているのではという気がしてならない。それはあたかもワ−グナ−の「トリスタンとイゾルデ」を観た時のようでもあり、ああ、この曲はこんな風にも演奏できるのか!と、まさに目からウロコの解釈をされた。一本取られたといった感じだ。また、主要主題が様々な調で『変容』を繰り返した末、ほぼ無調に至るという曲の構造を彼女は聴き手に示してくれている(これはリストの作品の進化を予言しているのだ)。そのことは彼女の深い思慮に裏打ちされたものでもあり、ソナタの次に「メフィスト・ワルツ第1番」と「悲しみのゴンドラ」を並べて、その『進化』の過程をわれわれに『再現』してくれている。

 

また、最後のバッハの編曲でのオルガンを思わせるような豪壮な響きも素晴らしいし、「メフィスト・ワルツ」での鋭く小気味よい切り込みやダイナミックな表現には快感さえ覚える。それに対比する1曲目の「愛の夢」も瑞々しい弱音を主体にした静けさに満ちたもので胸を打つ。彼女の魅力を伝える成熟したしかも鮮烈な演奏を聴いていると、キラキラと光り輝く若く眩い才能の出現に心から敬意を表したいものである。

 

 

 

 

 
| CD・DVDレビュ− | 14:32 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事
欧州クラシック通信(2011.08.29.)

テノール歌手のリチートラ 事故で重体

 




世界的テノール歌手のサルバトーレ・リチートラが、イタリアでスクーターを運転中に壁に激突し、頭や胸などを強く打って重体であると、イタリアの報道機関が28日、一斉に報じた。

 

リチートラは、人気・実力ともに、イタリア人テノール歌手の第一人者。「パヴァロッティの再来」とも言われる。シチリア系の両親のもとに生まれ、豊麗で明るく暖かみのある声を持っている。情熱的で叙情的な表現に優れており、ムーティに認められミラノ・スカラ座の主役を次々と務めた。2002年にパヴァロッティの代役を務めて注目され、その後プラシド・ドミンゴが自らの後継の1人に挙げるなど、「ポスト3大テノール」のひとりと目される人気歌手。来月のボローニャ歌劇場来日公演で、ヴェルディの『エルナーニ』の主役を歌う予定になっているが、周辺では「絶対に無理」としている。

文:三宅坂 幸太郎(音楽ジャ−ナリスト)

 

 

 

 

 
| 欧州クラシック通信 | 15:42 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
短期集中連載 ドイツ・ビ−ル紀行(第4回)

短期集中連載

          

ドイツ・ビ−ル紀行(第4回)

 

ドイツの代表的ビール

 

最低限この種類さえ知っていれば何とかなる! という最もポピュラーなドイツ・ビールをチェックしておこう。ドイツ・ビールは種類によってグラスの形状やサイズも異なるのがユニークなところ。それぞれのビールの特徴を案内する。

 

すっきりとした味わいの下面発酵ビール

 

Pils(ピルス)/Pilsner(ピルスナー)
 地域:ドイツ全国  アルコール度数:約4.8




日本のビールのほとんどはピルスナータイプと言われるこのビ−ルで、ドイツ語では「ピルス」と呼ばれ、最も多く飲まれているビールの種類である。店頭での販売数は全体の65%を占めている。透き通った黄金色、苦味とキレが特徴で、ホップの苦味が効いていて、きめ細やかな泡が特徴。レストランやビアホールでは、細めのグラスまたは筒状または脚のついたグラスで出される。オーストリア帝国の町ピルゼン(現在ではチェコ共和国のプルゼニュ)で、バイエルン出身のマイスターが1842年に製法を発明。比較的ドイツ・ビールの中では日本のビールと似ているので、日本人にも飲みやすい味である。

 

ピルスは全国どこへ行ってもあるが、特に北ドイツでよく飲まれるビール。独自のビール文化を持つ南ドイツ・バイエルン州では、ピルスの販売数は全体のわずか25%あまりを占めるのみだ。

 

 

Helles(ヘレス)/Lager hell(ラーガー・ヘル)/Export hell(エクスポート・ヘル)
 地域:南部(バイエルン州・バーデン・ヴュルテンベルク州)  アルコール度数:4.65.6

 




ドイツ南部
でよく飲まれるヘレス。特にバイエルン州では最もスタンダードなビールで、「ビールと言えばヘレス」というくらい親しまれている。麦芽の風味が効いていて、ほんのり甘みがある力強い味わいのビール。ホップの苦味は控えめ。このコクのあるヘレスに慣れると、ピルスでは物足りなくなってしまう人も多いよう。「hell(ヘル)」とは「色が薄い、淡い」という意味で、その名のとおり、このビールの色は淡い黄色、量は通常0.5リットル。こんな量でも、ビール好きのバイエルン人はあっという間にグラスを空けてしまう。

 

Export」は普通のヘレスよりアルコール度数が少し高め。これは、もともと輸出用に作られていたビールだったため、長い輸送期間に耐えられるよう強めに醸造されたことに由来する。

 

 

Dunkles(ドゥンケルス)/Lager dunkel(ラーガー・ドゥンケル)/Export dunkel(エクスポート・ドゥンケル)
 地域:主にバイエルン州  アルコール度数:4.65.6




ドゥンケルスには、火であぶって色が濃くなった麦芽が50%以上使用されているため、ビールの色も濃く、モルトの風味が効いている。「dunkel(ドゥンケル)」とは「濃い」という意味。まろやかでヘレスより少し甘みがあるこのドゥンケルスは、主に南のバイエルン州で飲まれるが、北部でも「珍しい味」として少しずつ人気が出てきている。

 

 

Schwarzbier(シュヴァルツビア)
 地域:ドイツ全国、主に東部  アルコール度数:4.85

 




シュヴァルツビア(=黒ビール)は、とても色が濃く、香ばしい麦芽の味がするコクのあるビール。その歴史はかなり古く、すでに1543年にテューリンゲン地方で製造されていたことが分かっている。淡色系ビールが一般的となった現在では、シュヴァルツビアはマイナーな存在であるが、100年ほど前まではビールと言えば黒というほどポピュラ−なそんざいだった。今では出番は少なく、「今日はいつもとはちょっと違った味を」というときに、この香ばしく味わい深いシュヴァルツビアを頼む人が多い。しかし旧東ドイツ地域では親しまれていて、人気も再び上昇しているらしい。

             

このビールは下面発酵で造られ、アルコール度は約5%。醸造元により味が少しずつ異なる。このビールのダーク カラーは、焙煎したモルトを使用しているため。黒ビールコブレットというグラスを使い、約8で飲むのがベストとされている。

 

 
| 短期集中連載 ドイツ・ビ−ル紀行 | 13:23 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
欧州クラシック通信(2011.08.29.)

ザルツブルク音楽祭の東日本大震災救済公演で、20万ユーロ収益

 




ザルツブルク音楽祭におけるアンナ・ネトレプコ、ピョトル・ベチャワ主演の《イオランタ》、《うぐいす》(演奏会形式)のゲネプロが、東日本大地震のための救済コンサートへと変更され、15万8000ユーロの券売収入を得ている。この金額にザルツブルク市が4万2000ユーロを加え、総額20万ユーロの寄付金がミューザ川崎の再建の基金として送られることになった。ちなみに川崎市は、1992年よりザルツブルク市の姉妹都市である。

 

文:三宅坂 幸太郎(音楽ジャ−ナリスト)

 

 
| 欧州クラシック通信 | 09:58 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
短期集中連載 ドイツ・ビ−ル紀行(第3回)

短期集中連載

          

ドイツ・ビ−ル紀行(第3回)

 

ドイツビール注文のポイント

 




ビールの分類も銘柄も多種多様なドイツ・ビールは、ドイツのほとんどの飲食店で数種類置かれているのが当たり前。ビールの注文には種類を指定し、選択肢が複数あるなら銘柄やサイズまで具体的に注文するのがドイツ流。ドイツでビールと言えば生ビールが基本だが、ワイン酒場など一部の例外では瓶ビールのこともある。

 

飲食店でのメニューには、ビールの銘柄・種類・サイズ・値段の順に記載されていることがほとんど。銘柄は店によって千差万別だが、ドイツで全国的に流通している数タイプと、あれば地ビールが用意されているのが通常。ドイツ全国どこでもメニューに登場するビールの種類を覚えておくと、注文もスマートにできるというもの。

 

 

「とりあえずビール」ではなく「最後までビール」!

 




ドイツ人はイメージ通り、とにかくビールをよく飲む。特に夏の間は、昼間からみんな普通にビールを飲んでいる(なかには朝っぱらから飲んでいる人もチラホラいる)。ドイツの中でも特にビールをよく飲む南部のバイエルン地方では、0.5リットルのグラスが標準サイズ。男性がビアホ−ルに入って0.3リットルなんて注文しようモンなら、ウェイトレスに蔑まれ、舌打ちされても仕方がないくらい。ミュンヘンで毎年9月に開催される世界最大のビール祭り「オクトーバーフェスト」では、1リットル(!)のジョッキしかないのだ。

 

バイエルン地方の大きなグラスにしても、その他の地方で使われる普通のグラスにしても、共通して言えることは、同じビールを何杯もおかわりするということ。日本のような「とりあえずビール」というのは存在しえない。ドイツではビールはあくまで主役でしっかり味わうためのものだから、とりあえず喉を潤すために、といった前置きのような扱い方は絶対にされないのだ。

 

食事をしながらビールを飲み、食べ終わってからもまたビールを追加。食後はそのままビールだけを飲み続ける。食事なしで飲みに行く場合は、ビールだけ注文。おつまみはナシかブレッツェルというパンがつまみ代わりとなる。「食事なしで飲みに行く」というのは、例えば夜に映画を見たあとちょっと飲んでいくとか、初めから夕食後の少し遅めの時間に友達と待ち合わせをし、純粋にビールだけを飲みに行くというような場合などだ。

 

おつまみもなしで、よくビールを何杯も飲み続けられるなぁと思うかもしれないが、これが意外と自然に体内に入っていくところが不思議なところ。なぜなら、ドイツのビールはものすごく美味しいから! 2杯目も他のものが飲みたくならない、もっとビールが飲みたい、と思ってしまうような美味しさなのだ。おつまみが要らないというのも、上質で深い味わいがあり、ビールそのものの味をしっかり楽しめるからだと思う。またそれとは別に、「一度気に入ったら、ずっとそれを求め続ける」「すぐに飽きたりしない。特に変化を求めない」といったドイツ人の性質も関係しているといわれている。だってこんなにビールが美味しいんだから、あえて他のものを飲む必要がない、そんな感じなのかも…。

 

 

 

 

 
| 短期集中連載 ドイツ・ビ−ル紀行 | 12:05 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事
ウォルフガング・サヴァリッシュ

ウォルフガング・サヴァリッシュ

                    




今日はウォルフガング・サヴァリッシュの88回目の誕生日だ。サヴァリッシュは1923年の今日、ドイツ・バイエルン州のミュンヘンに生まれ、幼少期からピアノ、音楽理論、作曲を相次いで学ぶ。指揮も、現代音楽の指揮で名高いハンス・ロスバウトに師事。1947年にアウグスブルク市立歌劇場でフンパ−ディングのオペラ「ヘンゼルとグレ−テル」を指揮しデビュ−。この指揮が高く評価され、第一指揮者に抜擢される。1949年にはピアニストとして、ジュネ−ブ国際音楽コンク−ルの二重奏部門で1位なしの2位を得る。以後指揮者とピアニスト(主に歌曲の伴奏者として活躍)を並立させる。1953年にはア−ヘン、1958年にはヴィスバ−デン、1960年にはケルンの音楽総監督を歴任。1957年にはバイロイト音楽祭デビュ−(33歳でのバイロイトへの出演は当時の最年少記録)を果す。歌劇場での活躍の一方でオーケストラの音楽監督でも活躍し、ウィ−ン交響楽団、ハンブルク・フィル、スイス・ロマンド管弦楽団の首席指揮者を歴任。1971年からは故郷、ミュンヘンのバイエルン州立歌劇場の音楽監督(1982年から92年は音楽総監督)に就任。1983年にはワ−グナ−の主要作品を、1988年にはリヒャルト・シュトラウスのすべてのオペラを上演して話題を呼んだ。バイエルンのポストを退任後、リッカルド・ム−ティの後任としてフィラデルフィア管弦楽団の音楽監督(2002年まで)に就任。フィラデルフィアのポストを退任した後は特定のポストには就かずフリーの指揮者となっていたが、2006年3月に病気の悪化を理由にその後のすべてのコンサ−トのスケジュ−ルをキャンセルし、現役からの引退を事実上表明した。ミラノスカラ座からトスカニーニバトン、ベルリンフィルからニキシュメダル、ウイーン交響楽団からブルックナーメダルを贈られている。

 




日本には1964年11月にNHK交響楽団の招きにより初来日。以来ほぼ毎年のように来日。以降N響への客演のほか、バイエルン州立歌劇場(1974年、1988年、1992年)やフィラデルフィア管弦楽団(1993年、1999年)との来日公演を行い、日本でもなじみ深い巨匠のひとりである。1967年からはN響名誉指揮者。現在は、同楽団桂冠名誉指揮者。N響とは定期公演のほか海外公演や二期会との共同制作によるオペラ上演などでも大いに活躍。また、N響の節目の演奏会には必ず登場し、1970年のベ−ト−ヴェン生誕200年のツィクルスや1973年のNHKホ−ルの杮落とし公演、1986年のN響の第1000回定期公演と、2001年の創立75周年記念公演(ともにメンデルスゾ−ンのオラトリオ「エリヤ」)などに出演。日本への最後の来日は2004年のN響の定期演奏会の指揮だった。

 

 

ウォルフガング・サヴァリッシュというと、堅実な指揮ぶりで、全然面白くないという風に評されることがあるが、彼の貴重な音楽遍歴などを考えると、そのような評価は値しない。むしろカ−ル・ベ−ム亡き後のドイツ、オ−ストリアの至宝といっても過言ではないし、実際にベ−ムはそのような趣旨の発言をしている。

 




筆者は2004年11月の彼の最後のN響の定期演奏会を聴いた。この時、仕事がメチャクチャ忙しい時期だったので、聴きに行く予定にしていなかったのだが、前週のプログラムを聴いた友人たちがこぞって『聴きに来た方がいい!』と言ってくれたので、無理をして上京したのだった。ベートーヴェンの交響曲第7番がメインのプログラムだった。この7番がメチャメチャ良かった!N響のメンバ−の顔つきが尋常でなかったのを思い出す。椅子に座ったままのサヴァリッシュの動きの小さな棒にもかかわらず、もの凄い熱演で、オケ全体の体の動きが違う。出ている音量が違う。地鳴りのように重たいティンパニ。轟々と響くコントラバスの重低音。パワー全開で音楽が熱い!その熱であたかも音楽が内側から光を発しているよう。こんなN響を見るのは初めてだ。

 

音楽が終わっても、いつまでも拍手は鳴りやまなかった。サヴァリッシュが何回も舞台に現れても拍手が衰えることはなかった。オケが退場しても聴衆の多くは逆に立ち上がり舞台の方に寄ってきて拍手を続けた。N響ではめったにお目にかからないスタンディング・オベイションだ!舞台は空となり客席の照明は全部ついている。何分たっただろうか。舞台下に押し寄せ拍手を続ける聴衆に応え、ようやくサヴァリッシュが姿を現した。拍手と歓声がひときわ高くなった。サヴァリッシュは何回も両手を上げ聴衆に応え、そして去っていった。ようやく拍手が止み人々は帰り始めた。

 




だがこの時ふと脳裏によぎったものがあった。『もしかしたら、これが最後の日本になるのでは?』と。そして自然と足は楽屋口へと向かっていった。送迎の車の周りには大勢の人がマエストロの『日本での最後の姿』をこの目に焼き付けたいと待っていた。30分ぐらい経ったころ、マエストロは我々の前に姿を現した。ホ−ル内の歓声にも負けないほどの感謝のブラボ−の声があちこちから挙がった。サヴァリッシュは車に乗り、窓を開けると出発間際に小声で「アリガトウ、サヨナラ」と言った。多くの人々の目に涙があふれた。感動的な、しかしながら感傷的なときだった。あの日、あの場所にいた多くの人々もきっとそう思っていたに違いない。

 

 

 

 

 

 

 

 
| きょうの出来事 | 20:50 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事
欧州クラシック通信(2011.08.25.)

グラインドボーン音楽祭の時期音楽監督は、ティチアーティ

 




グラインドボーン音楽祭の現音楽監督はウラディミール・ユロフスキだが、その後継者に28歳のロビン・ティチアーティが就任することになった。契約は2014年より。ティチアーティは、サー・コリン・デイヴィスのアシスタントとしてスタートし、バンベルク響の第1客演指揮者を務めている。同時にスコットランド室内管弦楽団の首席指揮者の任にあり、来シーズンはメットにもデビューする

 

文:三宅坂 幸太郎(音楽ジャ−ナリスト)

 

 

 
| 欧州クラシック通信 | 17:45 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事
短期集中連載 ドイツ・ビ−ル紀行(第2回)

短期集中連載

          

ドイツ・ビ−ル紀行(第2回)

                      

ドイツ・ビールの特徴

 




昨今では、さまざまなドイツ・ビ−ルがドイツ全国に流通し、日本へまで出荷されている銘柄もあるが、ドイツ・ビールは本来すべて地ビールであるといっても過言でない。水の硬度や麦の種類、ホップの品質、発酵方法などの違いから、各地で個性ある地ビールが醸造されている。地元の醸造所から届くフレッシュな地ビールの味わいは格別!ドイツ旅行ではぜひとも旅先のご当地ビールを味わってもらいたいものである。

             

ドイツ・ビールの種類の踏み込んだ解説は別の機会に譲るとして、とにかく一目で分かる違いと言えば色。黄金色、黄色、琥珀色に黒などなかなかカラフル。濃色ビールは一見苦味が強そうな印象があるかもしれないが、色は麦芽、苦味はホップに大きく左右されるので、色と苦味の強さは比例しない。また、濁ったビールもドイツではよく見かけられる。これは酵母をろ過していない澱入りビールで、味わいがよりナチュラルだという。

 

ドイツ・ビールの平均的なアルコール度数は4.5〜6%前後で日本のビールとあまり違わない。味わいは日本のビールよりもむしろまろやかで甘みのあるタイプも多く、特に女性に多い「苦味のせいでビールは苦手」という人でも親しみやすいと思う。また、ドイツ・ビールはキンキンに冷やすことはせず、だいたい8前後が飲みごろの温度といわれている。

 

 

ビールは「飲むパン」

 




中世の時代、ドイツの多くの修道院でビールが醸造されていた。規律の厳しそうな修道院と、嗜好品であるビール。どうも結び付かないような気がするが、当時の人たちにとってビールは嗜好品ではなく、栄養価の高い重要な飲み物だったのだ。現代のような豊かな食生活とは程遠い、中世の質素な食生活。とりわけ修道士たちは、農作業などの日々の肉体労働や厳格な生活の中、体が必要とする栄養を少しでも多くとることが必要であった(今でも多くの『飲兵衛』たちはそう自分の心に言い聞かせながら飲んでいる)。

 

毎年春にある「復活祭」前の40日間は断食を行う期間で、特にこの間はどのように栄養を摂取するか、ということが非常に重要な課題であった。そこで、断食とは食べることを禁じているのであって、液体状のものを口にする行為は断食を破ることにはならないという見解で、修道士たちは麦からできた液体=ビールをせっせと飲んでいたという。これで断食期間も、同じく麦からできているパンを食べるように、栄養をとっていたというわけだ。

 

ビールを「液体状のパン」として日々飲んでいた修道士たち。想像すると、それだけで何とも面白い光景なのだが、さらに驚かされるのが、彼らが一日に飲むことを許されていたビールの量は、なんと5リットル! しかも17世紀前半ごろからは、断食時には「さらに栄養価の高いビールを」ということで、アルコール度数が普通より高めのものが造られていたということ。強いビールを毎日何リットルもガブガブ飲んでいたドイツの修道士たち(しかも空きっ腹に)。

 

この断食のときに強いビールを飲むという習慣は、バイエルン地方に今でもしっかり残っていて、毎年3月には「強いビールの季節(Starkbierzeit)」として、各ビアホール、ドイツ料理レストランでアルコール度数の高い特別ビールを飲むことができる。

 

 

 

 

 
| 短期集中連載 ドイツ・ビ−ル紀行 | 13:02 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事
ラウンジで最後のひととき
ホテルに戻り、預けていた荷物を受け取って、スワンナプーム空港へ。チェックインをして、出国検査、セキュリティチェックを終えてラウンジに入室する。これがバンコクでの最後のひとときとなる。

21時55分に登場開始、そして22時25分にはバンコクを出発し、機上の人となる。
| 社長の海外出張日記 | 23:26 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事