CALENDAR
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< July 2012 >>
SPONSORED LINKS
RECOMMEND
NEW ENTRIES
CATEGORIES
ARCHIVES
MOBILE
qrcode
LINKS
PROFILE
OTHERS
 
クラシック専門 音楽マネジメント
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - | pookmark | 昨年の記事
ノイマン&チェコ・フィル『わが祖国』ライヴ

ノイマン&チェコ・フィル『わが祖国』ライヴ

 




スメタナ:連作交響詩『わが祖国』全曲

 

チェコ・フィルハ−モニ−管弦楽団

ヴァ−ツラフ・ノイマン(指揮)

 

録音時期:1974630

録音場所:東京文化会館

録音方式:ステレオ(ライヴ)

 

Tokyo Fm CD TFMC0039 オ−プンプライス

 

 

この公開録音に11万5千通の応募!

伝説中の伝説ライヴ『わが祖国』 チェコ・フィルによる日本での初演奏!

 

当時のチェコ・フィルの音楽監督であった、巨匠ヴァ−ツラフ・ノイマンとチェコ・フィルによる『わが祖国』の日本での初演奏がCDになった。これは当時のFM東京(現TokyoFm)による公開録音として企画され、ハガキによる応募となったのだが、クラシックの公開録音の応募になんと11万通を超えるハガキという空前の反応で、当然多数の人が抽選にもれた。それだけに、当日も抽選にもれたファンが会場に押し掛け押し問答があったという、いわくつきの公演でもあったのだ。

 

ノイマンの『わが祖国』は、現在入手できる国内盤は3種ある(1975年のチェコ・フィル COCO73062と、1978年の日本のオーケストラへの初客演のN響 KKC2037、それに1982年のチェコ・フィルによる東京文化会館(《わが祖国》初演100周年記念コンサート・ライヴ COCO70604)が、そのどれもが名盤で、チェコ最高の指揮者とオーケストラによる極めつきの演奏が楽しめる。

 

当盤は、それらよりも古く、1974年のもの。ノイマンたっての希望でおこなわれたチェコ陣営での日本初演だけあり大変な迫力で、終演後には爆発的喝采が収録されている。チェコ人ならずとも熱いなにかがこみあげてくる、まさに大演奏で、この時代の熱気に感動ものの1枚だ。

 

 

 

 
| CD・DVDレビュ− | 15:14 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事
NHK BSプレミアム 8月は<速報!夏の音楽祭2012>をオン・エア

NHK BSプレミアム 8月は<速報!夏の音楽祭2012>をオン・エア

 

8月のNHK BSプレミアムシアターは、<速報!夏の音楽祭2012>と題し、今年もクラシック音楽ファン憧れのエクサン・プロヴァンス音楽祭、ザルツブルク音楽祭、バイロイト音楽祭の模様をいち早く日本のお茶の間にお届け。ヨ−ロッパの最新ステージをお楽しみいただけることとなる。

 

 



8
13日(月)【12日(日)深夜】午前1時〜午前5

プレミアムシアター

エクサン・プロヴァンス音楽祭2012から

歌劇「フィガロの結婚」(モーツァルト)

 

<曲 目>

歌劇「フィガロの結婚」(モーツァルト)

<出 演>

マリン・ビストリム

パトリシア・プティボン

カイル・ケテルセン

ケイト・リンゼ

アンナ・マリア・パンザレルラ

マリオ・ルペリ   ほ か

 

<管弦楽>

ル・セルクル・ドゥ・アルモニー

<指 揮>

ジェレミー・ローラー

<演 出>

リチャード・ブルーネル

 

収録:2012712日 大司教館中庭(エクサン・プロヴァンス)

 

 



8
20日(月)【19日(日)深夜】午前0時〜午前4

プレミアムシアター

ザルツブルク音楽祭2012から 

歌劇「ボエーム」(プッチーニ) 【5.1chサラウンド】

 

<曲 目>

歌劇「ボエーム」(プッチーニ)

<出 演>

ピョートル・ベチャワ

アンナ・ネトレプコ

ニーノ・マチャイゼ

カルロ・コロンバーラ  ほ か

 

<管弦楽>

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

<指 揮>

ダニエレ・ガッティ

<演 出>

ダミアーノ・ミキエレット

 

収録:201281日 祝祭大劇場(ザルツブルク)

 

ほかに<NHKハイビジョン・アーカイヴス>ザルツブルク音楽祭1991から ムーティ指揮ウィーン・フィルによるモーツァルト・コンサートを放送。

 

 



8
27日(月)【26日(日)深夜】午前0時〜午前4

プレミアムシアター

バイロイト音楽祭2012 から

舞台神聖祭典劇「パルシファル」(ワーグナー) 【5.1chサラウンド】

 

<曲 目>

舞台神聖祭典劇 「パルシファル」(ワーグナー)

<出 演>

デトレフ・ロート

ディオゲネス・ランデス

ユン・クワンチュル

ブルクハルト・フリッツ

スーザン・マクリーン  ほ か

 

<管弦楽>

バイロイト祝祭管弦楽団

<指 揮>

フィリップ・ジョルダン

<演 出>

シュテファン・ヘアハイム

 

収録:2012811 バイロイト祝祭劇場(ドイツ)

 

 

 

 
| アルカディア・ニュ−ス | 17:30 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事
天神祭のクライマックス船渡御がスタ−ト


 

午後6時をかなりまわったところで天神祭のクライマックス船渡御がスタ−ト。船は上流に向けて進んでゆく。出向を待っている間は西日が差して暑かったのだが、船が動き始めると、川を吹く風が心地よい。お弁当とお酒(キリンビ−ルさんが協賛になっていただいているらしく、飲み放題だという!)をいただきながら、しばし大阪の風景を川の中から眺める。途中、毎春の大阪の風物詩、桜の名所である大阪造幣局のそばも通過する。大川の両岸には出店がずらりと並び、見物客も多い、見物客は橋の上もびっしりで、これなら100万人くらいは居ても不思議でない。行き交う船、両岸に係留している船などがすれ違う際に船内からは「大阪締め」の手拍子や太鼓の音などが鳴り響いている。私たちが乗船するのは舞子さんの講、天神講獅子の船だから、船内でも獅子舞と踊りが頻繁に行われる。こちらも祭り気分が上がるというもの。

 




天神橋から上流の飛翔橋を通り過ぎたところで、船は反転する。その頃には日も落ちて、船のかがり火やちょうちんの明かりが川面を照らして、幻想的な雰囲気。川を下りはじめるといよいよ奉納花火が打ち上げられる。2か所の打ち上げ会場から、船が通過するごとに花火が夜空を彩り、祭りはクライマックスに。船の行き交う大川の川面を華やかに彩り、水の都・大阪を華やかに演出している。午後9時すぎに天神橋のたもとに船が到着、往復約7キロ、時間にして2時間余りの風情ある船旅に満喫した一夜だった。

 

 

 

 
| きょうの出来事 | 16:25 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事
天神祭に行く


今回は天神講獅子の方のご厚意で天神講の船に乗船させていただくことになった。この天神講獅子は、毎年、400名を超える踊子によって、獅子舞・傘踊・四つ竹・梵天などの踊りをくりひろげ、祭の雰囲気を盛りあげる大集団で、その歴史は江戸時代の寺子屋に端を発し、学問の神様である菅原道真公を信奉していた人々が講を作ったといわれている歴史のある講のひとつだ。




4時過ぎにホテルを出て、地下鉄で大阪天満宮の近くの南森町へ。まずは天満宮の境内でひとしきり天神祭を楽しむ。すでに講の皆さんやお神輿などは陸渡御(りくとぎょ)に出発しているので、境内と参道は比較的落ち着いているようだ。5時になったので、船乗り場である天神橋北詰へと向かう。乗船時間は厳守ということなので、急ぎ乗船手続きをして、決められた船に乗り込む。もうすぐ出航、船渡御の始まりだ。

天神祭はいよいよクライマックスを迎えます!!
| きょうの出来事 | 18:21 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事
大阪天満宮の天神祭
天神祭は、全国の天満宮で催される祭りで、菅原道真の命日にちなんだ縁日として知られている。なかでも大阪天満宮の天神祭は有名で、京都の祇園祭、東京の神田祭りと並んで、日本三大祭とされている。天神祭は大阪天満宮が鎮座した2年後の天暦5年(西暦951年)より始まったとされている。江戸時代には日本三大祭のひとつと呼ばれるようになり、その様子は『東海道中膝栗毛』や『世間胸算用』などにも登場する。天神祭は大阪市内の繁栄ぶりを祭神である菅原道真の御神霊に見ていただき、さらなる繁栄を祈願して賑やかに取り行われるというもの。

7月24日の宵宮、そして25日の本宮において夏大祭・神霊移御・陸渡御・船渡御・奉納花火などの神事が催されるが、なんと言っても天神祭のクライマックスは船渡御(ふなとぎょ)だ。船渡御とは神輿を船に載せて川や海を渡すことをいい、100隻余りの船が大川(旧淀川)をゆっくりと行き交い、大川の両岸には見物客が約100万人とも言われている。大川の2ヶ所から豪快に打ち上げられる約5000発の花火(奉納花火)も壮観だという。大川に映るかがり火や提灯灯り、花火などの華麗な姿は、『火と水の祭典』とも呼ばれていて、見守る人々を神秘的な世界へと案内してくれる。
| きょうの出来事 | 17:30 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事
今日は出張と・・・。
P2011_1219_095115.JPG

昨日、一昨日と四国内出張の後、今日からは大阪出張です。松山空港から飛行機で大阪・伊丹空港へ、その後2件の予定をこなします。その後はいったんホテルにチェックインした後 、夕方からは・・・。それは後のお楽しみ!!
| きょうの出来事 | 09:57 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事
欧州クラシック通信(2012.07.24.)

来年以降のザルツブルク音楽祭

 




7月20日に始まった今夏のザルツブルク音楽祭は、例年以上にポピュラーなオペラ演目、多数のスター歌手が出演することで話題を呼んでいて、すでに完売になって入手が困難な超人気公演「ラ・ボエーム」「カルメン」「魔笛」のオペラ公演や、ウィーン・フィル演奏会の大部分、C.アバド指揮/モーツァルト管弦楽団演奏会、C.エッシェンバッハ指揮/シュレスヴィヒ・ホルシュタイン祝祭管弦楽団演奏会、S.ラトル指揮/ベルリン・フィル演奏会や、D.バレンボイムやM.ポリーニのピアノリサイタルなどが完売となっており、チケットセ−ルスも順調だ。

 

ここで、芸術監督のアレクサンダ−・ペレイラが来年以降の音楽祭について地元新聞のインタビューに答えている。来年はすでに表明しているとおり、ガッティ指揮でワーグナーの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」を取り上げるなど、生誕200年のメモリアルイヤーを迎えるワーグナーとヴェルディの作品を複数上演する。そして2014年は同じく生誕150年のメモリアルイヤーを迎えるR.シュトラウスを、2015年はロシア作曲家をメインにプログラムを組むと明言している。

 




文:三宅坂 幸太郎(音楽ジャ−ナリスト)

 

 

 
| 欧州クラシック通信 | 18:12 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事
バルシャイ/『死者の歌』日本初演ライヴ

バルシャイ/『死者の歌』日本初演ライヴ

 




ショスタコーヴィチ:交響曲第14番ト短調 op.135『死者の歌』

 

マクワラ・カスラシヴィリ(ソプラノ)

エフゲニ−・ネステレンコ(バス)

モスクワ室内管弦楽団

ルドルフ・バルシャイ(指揮)

 

録音時期:1975516

録音場所:東京文化会館

録音方式:ステレオ(ライヴ)

 

Tokyo Fm CD TFMC0038 オ−プンプライス

 

 

ショスタコーヴィチ:交響曲第14番『死者の歌』 1975年日本初演ライヴ

バルシャイ未亡人も激賞のすごい演奏!

 

同曲世界初演者バルシャイの日本初演壮絶ライヴ! ルドルフ・バルシャイは、1924年にソ連のラビンスカヤに生まれた指揮者で、名教師イリヤ・ムーシンに指揮を学び、1955年、モスクワ室内管弦楽団を創設して指揮者としての活動をスタート。このオーケストラとの活動は、バルシャイが亡命するまでの20年以上におよび、バロック音楽から現代作品に至る幅広いレパートリーを演奏・録音し、厳しい練習の果てに到達した鍛え抜かれ引き締まったアンサンブルで大いに声望を高めた。

 

弦楽合奏と打楽器群によって演奏されるこの交響曲第14番は、死にまつわる11のテキストに付曲した作品で、グレゴリオ聖歌が引用されガルシア・ロルカの色彩豊かな光景を彷彿とさせる死者への祈りの詩を用いた第1楽章「深き淵より」から、コサックが「おまえの母ちゃんでべそ」的な悪口をスルタンにまくしたてる第8楽章のような音楽にいたるまで実に幅広い死のイメージを内包しており、ショスタコーヴィチが単なる静謐で美しい死のイメージといったようなものではなく、もっと複雑で現実的な痛みや苦み、恐れといったものまで表現している。バルシャイはこの曲の世界初演を任された人だけに、11の楽章すべてに一貫した完璧な仕上げで、この曲が示す鋭利な感覚はまさに作曲者の意図を体現している。

 

録音もTOKYO FMシリーズ中最高と云っていいほどで、スタジオ・レコーディング顔負けの素晴らしい音質、うなる低弦や炸裂する打楽器のなまなましさは無類、そのうえ名人ネステレンコのバスの歌声が背筋が寒くなるほどのリアルさでとらえられている。曲の内容と相まって忘れられぬ印象を残す1枚である。

 

 

 

 
| CD・DVDレビュ− | 20:43 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事
欧州クラシック通信(2012.07.22.)

バイロイトの『オランダ人』、「上半身問題」で降板

 




今年のバイロイト音楽祭も7月25日の『さまよえるオランダ人』の新制作で幕開けするけれど、ここにきてタイトルロ−ルのエフゲニー・ニキティンを失ってしまった。その理由が病気ではなくて、どこかの市長さんみたいに「下半身の問題」でもなく、「上半身の問題」、つまりは彼の体に刻まれている刺青だという。

 

先日、ドイツのテレビ局ZDFが新制作の主役を歌うニキティンのレポートを放送したが、この番組のなかでニキティンが上半身裸でロックを演奏する映像が紹介された際に、彼の胸に大きなハーケンクロイツの刺青が映ったという。これを見た音楽祭事務局がニキティンを呼んで話合い、主役交代という事になったという次第。

 

ニキティンはティーンエイジャーの頃、ヘヴィーメタル・ロックバンドのドラマーとして活躍していたそうで、刺青はその時彫ったものだという。今ではハーケンクロイツは別のモチーフに覆われているらしいが、ニキティンは「人生の大きな失敗で、やらなければ良かったと後悔している。」というコメントを残し、バイロイトを去って行ったという。これに対してバイロイト音楽祭事務局は、「バイロイト音楽祭が出演者を選ぶ基準は良い歌手かどうかが全てで、国籍、肌の色、その肌の上にどんな模様があるかは関係ない。しかしながらこの件は特別だ。」との声明を出している。

 

バイロイト音楽祭は、戦前にナチスとのあまりにも近い関係が戦後に影を落としてきた。音楽祭当局はその影を取り除こうと長年苦労していたわけで、ここへきてハーケンクロイツの刺青をした歌手が出演すれば、「バイロイト音楽祭はナチ賛同者を起用する」と批判が出ると判断したのではないかと断定できよう。ちなみに、ニキティンの代役は今の段階では発表されていない。

 

文:三宅坂 幸太郎(音楽ジャ−ナリスト)

 

 

 
| 欧州クラシック通信 | 00:00 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事
クリムトと『ベートーヴェン・フリーズ』

クリムトと『ベートーヴェン・フリーズ』

 




今年はグスタフ・クリムトGustav Klimt 1862-1918)の生誕150年という。そして7月14日が彼の150回目の誕生日だったそうだ。(おお、素晴らしい、なんという偶然!)

 

グスタフ・クリムトは1862年、ウィ−ン郊外のバウムガルテンに生まれ、工芸学校で学んだ彼は、装飾家として1886年にウィーンのブルク劇場の装飾を引き受け、この作品によりウィーン美術界における名声を確立した。1894年にはウィ−ン大学の講堂の天井画の制作を依頼されるが、依頼者が意図したテーマに反してクリムトは茶化した作品を制作したため大論争を引き起こし、とうとう帝国議会において依頼主の文部大臣が攻撃される事態にまで発展、そうしたゴタゴタに嫌気がさしたクリムトは契約を破棄し、受け取った報酬を返却した。この事件をきっかけとして保守的なウィーン美術家組合を嫌った彼は、仲間の芸術家達によって1897年にウィ−ン分離派を結成、初代会長に就任。以来、分離派は古典的、伝統的な美術からの分離を標榜するグループとして、積極的に展覧会、出版などを通してモダンデザインの成立に大きな役割を果たしたのだった。

 




1902年開催されたウィーン分離派第14回展は、ドイツの彫刻家マックス・クリンガー(1857-1920)によって制作された≪ベートーヴェン像≫が中心テーマとなり、楽聖ベートーヴェンを称賛するために企画され開催された展示会で、クリムトは大作『ベートーヴェン・フリーズ』を出品し、楽聖に対し敬意を表した。この『ベートーヴェン・フリーズ』は、当時ウィーンで英雄としてもてはやされていたベートーヴェンの『第九交響曲』の世界を絵にしたもので、苦悩に満ちた第1楽章から、女性たちが声高らかに「歓喜の歌」を歌い上げる終楽章まで、クリムトは曲全体を「苦悩の克服と芸術による魂の浄化」の物語として、高さ2.15メ−トル、幅34.14メ−トルという長大な壁に絵巻物のように表現した装飾壁画である。

 




マーラーの解釈によるベートーヴェンの楽曲にインスパイアされて制作されたこの壁画は、大きく分けて3つの場面を描いている。第一場面は「幸福への憧れ・弱き人間の苦悩・武装した強者に対する弱者の哀願」、第二場面は「敵対する勢力」、そして第三場面は「ポエジーに慰めを見出す憧れ(詩)・歓喜(天使たちの歓喜のコーラス)・接吻」がそれである。〜微風のような繊細なタッチで描かれたまどろむ女性が物語の流れを誘っていて、弱者に請われて敵に立ち向かわんとする金色の甲冑に身を包んだ騎士、敵対するあらゆる悪、それを浄化するかのような竪琴弾き、そして歓喜の歌に包まれた幸せな抱擁〜。騎士や祝福される男女には金が多用されているものの、描き込みや色遣いやモザイクなど、凝っているのはむしろ敵対する悪であるゴルゴンや退廃の象徴だったりする。平和や幸せの儚さと、簡単にはびこる悪の対比なのだろうか・・・。

 




もともとベートーヴェン・フリーズは、この展覧会の期間が終われば撤去される「架設の壁画」として制作されたにもかかわらず、金泥がふんだんに使われた贅沢な表現に、クリムトのこの作品にかけた思いが読み取れる。それだけに賛否が分かれても、この作品をある意味狂信的に支持する人も少なからずいたに違いなく、当時の美術愛好家であったカール・ライニングハウスに買い上げられ、その後ユダヤ人蒐集家に渡った後、長年行方不明となっていたが、奇跡的に発見され、1970年にオーストリア政府により買い上げられて修復を受け、現在ではセセッション(分離派会館)に展示されているのだ。

 


P2010_0420_121248.JPG

クリムトはすでに1895年にターニングポイントとなるべき作品『音楽』で黄金によって装飾された、竪琴を弾く女性像を描いている。そして『ベートーヴェン・フリーズ』の6年後の1908年には有名な『接吻』を発表し、国際的なユ−ゲント・シュティ−ル(アール・ヌーヴォ)の流れの中で独自のスタイルを確立した時期の作品と言えるのだ。

 




「なんと悲劇的で、そしてまたなんと至福に満ちていることか・・・」 これはロダンが1912年にこの『ベートーヴェン・フリーズ』を見たときに発した言葉だが、まさにそのとおり!それほどまでに衝撃的だった。2010年4月24日の午前中にこれを観た筆者はその数時間後にまさにこの絵を地で行くような、圧倒的な演奏に出くわした。それがティ−レマン指揮のウィ−ン・フィルによる『第九交響曲』の演奏であった。最後の一音が鳴り終わった時、私の頬には自然とひとすじの涙が頬をつたわった。私はクリムトの絵と共に、この演奏を一生忘れない。

 

 

 
| きょうの出来事 | 22:56 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事