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R.シュトラウス 最後の公開演奏会ライヴ(2CD)

R.シュトラウス 最後の公開演奏会ライヴ(2CD)

 




リヒャルト・シュトラウス:

CD1

交響詩《ドン・ファン》 Op.20

ブルレスケ ニ短調 AV.85

家庭交響曲 Op.53

CD2

交響詩《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》 Op.28

交響詩《ドン・ファン》 Op.20(リマスター前の音源抜粋)

 

アルフレッド・ブルーメン(ピアノ)(2

フィルハーモニア管弦楽団(1-3,5

BBC交響楽団(4

リヒャルト・シュトラウス(指揮)

 

録音時期:19471019日&1029日(モノラル)

録音場所:ロイヤル・アルバート・ホール(ライヴ)

 

テスタメント CD SBT21441(2枚組 輸入盤) オ−プンプライス

 

 

リヒャルト・シュトラウス自作自演

最後の公開演奏会ライヴ!

 

1947年、最晩年のリヒャルト・シュトラウスが死を迎える2年前、83歳という高齢で自らの作品を指揮した2回のコンサートの歴史的記録がここに蘇る。まさに「テスタメント」と呼ぶにふさわしいこの2つの演奏会が、シュトラウスの公開演奏会で指揮をとる最後となった。ロマン派最後の大作曲家が上演という形で自身の作品の再創造に関わったまさしく最後の時がここに刻まれている。

 

終戦後、非ナチ化裁判の被告となったこともあり、表だった活動は控えていたが、周囲からのすすめもあり半ばイヤイヤロンドンに旅立った。イギリス人にとってもはや彼は“過去の人”であったが、自ら指揮棒を振り健在をアピールしている。このとき本人は『アルプス交響曲』を希望したが、当日に別の演奏会があったためにオーケストラ奏者を確保できず、やむなく『家庭交響曲』を演奏したという。

 

10月19日、日曜の夜、ロイヤル・アルバート・ホールで催された演奏会では、会場を埋め尽くした7,000人もの聴衆は皆立ち上がり、指揮壇へゆっくりと進むシュトラウスを万雷の拍手で迎えた。そして、最高の演奏がおこなわれたのだ。タイムズ紙の批評家は次のように書いている。「指揮者としてのシュトラウス博士は決して表現派ではない。彼の左手はほとんど動かず、右手も拍を刻む以上の事はしていないように思われる。しかし、その拍のなんと正確なことか!微妙な指揮棒の動きの変化によって生み出される表現の幅がどれほど無限であることか。83歳という高齢にもかかわらず、そのオーケストラの統率力、そしてそこから彼が望むものを正確に引き出す能力は、いまだ衰えていない。膨大な数の聴衆のほとんどが生まれる前から有名であった一人の男の一夜の仕事としては、目を見張るものである。」

 




ただし、この日の演奏は長い間、『ブルレスケ』だけが唯一の完全な録音と考えられていた。それはその演奏がナショナル・サウンド・アーカイヴ(NSA)に保存されているからだったからなのだが、近年、プロの録音エンジニアのケネス・リーチが1934年から1955年にかけて、1台の78回転のアセテート盤録音システムを用いて、当時の放送をプライヴェートに家庭で記録した膨大な録音資料、リーチ・コレクションが発見され、この日の演奏会の録音も含まれていたのだった。しかしながら『ブルレスケ』の録音とは異なり、リーチの録音は、78回転のアセテート盤の片面が終わり、新しいブランク・ディスクと交換しなければならない。リーチがディスク交換に要した数秒の間の音が、ディスク収録時間の約4〜5分ごとに欠落しているというもの(『ドン・ファン』3箇所、『家庭交響曲』7箇所、『ティル』2箇所)なのだ。しかしながら、たとえこれらの録音が不完全なものであるとしても、この演奏をリリースすることを決定づけたのは、いかにこの現存する録音資料が重要であるかということなのだ。さすがにシュトラウスという大作曲家にして大指揮者、その人の指揮だけのことはある。貧弱なアセテート盤から、よくこれだけ復刻が出来たものだと舌を巻かざるを得ない。まさに『テスタメント(遺言の意味を持つ)』な録音である。

 

なお、10月29日、イギリス訪問の最後に、シュトラウスは、アルバート・ホールでもう一度指揮をした。この時には、エイドリアン・ボールト卿の指揮によるモーツァルトの『ジュピター』交響曲で演奏会の幕が開いた後、シュトラウスは、交響詩『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』の1曲だけBBC交響楽団を指揮したのであった。

 

 

 

 

 
| CD・DVDレビュ− | 13:36 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
ホルライザー/ブルックナー4番

ホルライザー/ブルックナー4番

 




ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調 WAB.104『ロマンティック』[ノヴァーク版]

 

バンベルク交響楽団

ハインリヒ・ホルライザ−(指揮)

 

録音時期:1959102930

使用音源: SMS (U.S.A.) S41-A (オープンリール・テープ、4トラック、19センチ)

録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)

 

CD GS2088 オ−プンプライス

 

 

これぞ、古き良きドイツの香り!

「ロマンティック」の正統的名演、国内初登場!

 

これを初めて聴いた人は、「こんな名演が埋もれていたのか」と驚くはず。まず耳につくのが、この当時のバンベルク交響楽団の渋く柔らかい音色で、これはまさに古き良きドイツの香りと言えるのではないか。ホルライザーはその素晴らしい響きを中庸なテンポ設定により、ほど良いスケールの大きさと、細部のていねいな仕上げによって処理している。使用版は最もスタンダードな〈ノヴァーク版〉であるが、改訂版からの引用や、独自の改変などはなく、楽譜に忠実だ。この演奏は海外ではVox-Allegro等の廉価盤でCD化されているが、国内では初登場だという。当CDは4トラック、19センチのオープンリール・テープより復刻されているのだが、柔らかい空気感は既発のCDよりも明らかに勝っており、新たに買い直す価値大だ。なお、このディスクは初めて録音データを掲載したものとなるとのこと。

 

 

 

 

 
| CD・DVDレビュ− | 04:25 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事
欧州クラシック通信(2013.04.26.)

クリスティアン・ヤルヴィがグスタート音楽祭の首席指揮者に

 



昨年よりMDR交響楽団の首席指揮者を務めているヤルヴィ家の二男坊、クリスティアン・ヤルヴィが、スイスのグスタート音楽祭の首席指揮者に就任すると発表した。それによると、ヤルヴィは2年ごとに音楽祭の専属オーケストラと演奏会を行い、さらにツアーも実施するという。

 

文:三宅坂 幸太郎(音楽ジャ−ナリスト)

 

 

 

 
| 欧州クラシック通信 | 14:34 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事
カウフマンのワーグナー

カウフマンのワーグナー

 




ワーグナー:

父が約束した一振りの剣(『ワルキューレ』から)

あいつが俺の父親でないとは、なんとうれしいことだろう(森のささやき)(『ジークフリート』から)

All'machtiger Vater(『リエンツィ』から)

ヴォルフラム、きいてくれ・・・今まで感じなかったほどの(『タンホイザー』から)

静かな炉端で(『ニュルンベルクのマイスタージンガー』から)

遥かかなたの国へ−ローエングリンの名乗り(『ローエングリン』から)

ヴェーゼンドンク歌曲集

 

ヨナス・カウフマン(テノール)

ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団&合唱団

ドナルド・ラニクルズ(指揮)

 

録音時期:2012917-22

録音場所:ベルリン、グロッサー・ゼンテザール

録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)

 

デッカ CD 4785189(輸入盤) オ−プンプライス

 

 




ワーグナー生誕200年記念

カウフマン待望の新録音はワーグナー!

 

持ち前の歌唱力に加え、演技力にも定評のある現代最高のワーグナー歌手ヨナス・カウフマン。欧米の主要歌劇場では常に主役を務める人気ぶりで、2009年ミュンヘンでの《ローエングリン》でワーグナー歌手としての地位を確固たるものとしたテノールのヨナス・カウフマン。翌2010年にはバイロイト音楽祭に出演、2012年にはメトロポリタン歌劇場の《ワルキューレ》でもジークムント役を歌い、世界中の歌劇場からオファーが絶えない活躍を続けている。ワーグナー・イヤーの今年は2月にミラノ・スカラ座で『ローエングリン』を、3月にはニューヨーク・メトロポリタン歌劇場で『パルシファル』を歌っている。

 

今作はDECCAからの、これが4枚目となるオーケストラ伴奏のアルバム、ワーグナー生誕200年を記念し、2012年9月にベルリンで録音されたもので、ワーグナーの主要オペラからの人気アリア6曲と、男声歌手の録音としては珍しい『ヴェーゼンドンク歌曲集』が収録されている。特に有名な「ローエングリンの名乗り」では、通常カットされる長大な「グラール語り」を完全収録されているのが特筆モノ。

 

 

 

 

 
| CD・DVDレビュ− | 01:34 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事
欧州クラシック通信(2013.04.24.)

来シーズンのベルリン・フィル

 




来シーズンのベルリン・フィルのスケジュ−ルが発表された。芸術監督のラトルは、フィルハーモニーで11のプログラムを指揮する。客演指揮者は21名だが、今年も日本人指揮者は選ばれなかった。メータとギルバートが2つのプログラムを指揮する他はすべて1プログラムを指揮する。ポーランド出身で、東京交響楽団の首席客演指揮者のウルバンスキがデビューを果たすのが注目だ。大晦日のジルベスターコンサートは、ランランをソリストに迎えてベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番、ブラ−ムスのハンガリ−舞曲第1番と第3番、ドヴォルザ−クのスラヴ舞曲などが演奏される。コンサートマスターの樫本大進は、来日公演直前の11月1日および2日のラトル指揮の定期演奏会でソリストで出演し、来日公演と同じくプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1番を演奏する。

 

文:三宅坂 幸太郎(音楽ジャ−ナリスト)

 

 

 

 
| 欧州クラシック通信 | 22:38 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事
リスト巡礼〜長富彩

リスト巡礼〜長富彩

 




リスト:

エステ荘の噴水

愛の夢第3

リゴレット・パラフレーズ

献呈(シューマン=リスト)

糸を紡ぐグレートヒェン(シューベルト=リスト)

超絶技巧練習曲集第10番ヘ短調 「熱情」

スケルツォーソ〜クリスマス・ツリー曲集より

カリヨン〜クリスマス・ツリー曲集より

ラ・カンパネラ〜パガニーニによる超絶技巧練習曲集 第3

孤独のなかの神の祝福〜詩的で宗教的な調べ 第3

 

長富 彩(ピアノ)

使用楽器:1912製ヴィンテージ・スタインウェイ使用(Steinway CD368

 

録音時期:201141日〜3

録音場所:相模湖交流センター

録音方式:デジタル(セッション)

 

日本コロムビア CD COCQ84900 2,940

 

 

ヴィルトゥオージティを越えてリストの魂に迫る、しなやかなピアニズム

長富のリストは、聴き手の心を揺さぶる祈りと愛の共感に満ちている!

 

リスト・イヤー(生誕200年)にあわせての長富 彩のセカンドアルバム。リストは、長富の最も得意とする作曲家のひとりであり、多くのステージで、聴衆の心を揺さぶる演奏を残している。長富自身は、東京音楽大学附属高校を卒業後、ハンガリーのリスト音楽院に留学し名教師ジョルジュ・ナードルのもとで研鑽を積んだ。彼女のリストは、超絶技巧を越えた聴き手の心を揺さぶるものを持ち合わせている。

 

彼女は1986年生まれ。2002年東京音楽大学付属高校ピアノ演奏コースに特待生奨学金を得て入学。2005年王子ホールにてリサイタルを開催。同年よりハンガリー国立リスト音楽院へ留学、同時にハンガリー国内でもリサイタルや室内楽演奏会などで演奏活動を開始。2007年にアクロス福岡、ムラマツリサイタルホール(大阪)をはじめ高松、東京でリサイタルを開催。2008年に米国イリノイ州にあるラトキンホールにて開催したリサイタルが大きな反響を呼び、これを機に演奏依頼が殺到し、米国での演奏活動を開始する。2009年、ニューヨークのスタンウェイホールにてリサイタルを成功。現在、日本各地でのリサイタルに加えオーケストラとの協演、室内楽などの分野においても精力的に活動している若き女流ア−ティストだ。

 

19世紀、パガニーニに並んで大人気の音楽家リストには、演奏に感動して失神する女性までいたという有名なエピソードがある。ヴィルトゥオージティ(超絶技巧)を越えた、深い祈りと愛、情熱。それほど聴き手の感情を大きく揺れ動かす演奏家に求められるものは、単に技巧だけではない。大胆さから繊細さまでの、幅広く、それでいて緻密な表現力。それはまさに天才だけに許される音楽性だ。

 




リスト作品は、ひと言で言い表せないような多面性、すなわち圧倒的な技巧の誇示、ロマンティックなメロディー、ピアニスティックな演奏効果の高い編曲作品、そして深遠なる宗教的な調べがある。長富は、その多面性を大切にしつつ、なかでも自身が強く共感する、リスト作品に内包される「愛と祈り」に焦点をあてている。それだけに彼女の演奏するリストは、超絶技巧を越えた、聴き手の心を揺さぶる愛に満ちていると言っていいのではないか。

 

長富はまだ若いのだが(したがって少々荒っぽいところがないわけではないのだが・・・)、それだけに情熱を録音したようなCDであり、精魂こめた壮絶な情熱があり、こちらを彼女の『リストのピアノ世界』へ誘われたかのようだ。特に愛の夢やラ・カンパネラといったポピュラー小品に超絶技巧練習曲など、情熱とテクニックの極みがあり、素晴らしい仕上がり。ジャケ写とはミス・マッチな彼女を「リスト弾き、ここに登場!」と言いたくなる1枚だ。これぞリストの心の奥底に迫る決定盤といったところか。

 

スタインウェイ&サンズ社は言わずと知れたピアノメ−カ−で、パデレフスキー、ラフマニノフ、ルビンシュタイン、ホロヴィッツ、グレン・グールドなど世界的な巨匠たちが愛用したもの。この録音で使用された1912年製のCD368CDとは、Concert D型の略)は、スタインウェイ本社コンサート部の貸出用として当時活躍していた楽器で、クオリティが高く、太い重低音と輝かしい高音、メロウな中音域、豊かな色彩を持った、まさにクラシック黄金時代のすべてを語ってくれる楽器だ。

 

 

 

 
| CD・DVDレビュ− | 16:38 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事
ウェルザー=メストの『アラベラ』

ウェルザー=メストの『アラベラ』

 

リヒャルト・シュトラウス:『アラベラ』全曲

エミリー・マギー(アラベラ)

ゲニア・キューマイヤー(ズデンカ)

トマシュ・コニェチュニー(マンドリーカ)

ミヒャエル・シャーデ(マッテオ)

ヴォルフガング・バンクル(ヴァルトナー伯爵)

ゾリアナ・クシュプラー(アデライーデ)

ノルベルト・エルンスト(エレマー伯爵)

クレメンス・ウンターライナー(ドミニク伯爵)

コリン・コリバン(ラモーラル伯爵)

ダニエラ・ファリー(フィアカーミリ)

ドンナ・エレン(占い女)  ほか

 

演出:スヴェン=エリク・ベヒトルフ

装置:ロルフ・グリッテンベルク

衣装:マリアンネ・グリッテンベルク

フランツ・ウェルザー=メスト(指揮)

ウィーン国立歌劇場管弦楽団・合唱団

 

収録時期:201256,9

収録場所:ウィーン国立歌劇場(ライヴ)

 

 




BD仕様】

収録時間:152

画面:カラー、16:91080i High Definition

音声:LPCM Stereo / DTS-HD Master Audio 5.1

字幕:ドイツ語、英語、フランス語、スペイン語、イタリア語、韓国語、日本語

Region All

Electric Picture  EPC04BD(輸入盤) オ−プンプライス

 


 


DVD仕様】

収録時間:152

画面:カラー、16:9

音声:LPCM Stereo / DTS 5.1

字幕:ドイツ語、英語、フランス語、スペイン語、イタリア語、韓国語、日本語

NTSC

Region All

Electric Picture  EPC03DVD(輸入盤) オ−プンプライス

 

 

ウィーン国立歌劇場2012 R.シュトラウス:『アラベラ』

マギー、キューマイヤー、他W=メスト指揮、ベヒトルフ演出

 

ウェルザー=メスト2度目となる『アラベラ』の映像作品。前回、2007年の映像は、チューリヒ歌劇場音楽監督時代の舞台を収録したもので、主役はルネ・フレミング、モルテン・フランク・ラーセン、ユリア・クライターというキャスティングであったが、今回はウィーン国立歌劇場のプロダクション(ハンブルク州立歌劇場との共同制作)でベヒトルフの演出である。筆者はこのプロダクションのプレミエ(2006年12月9日)を実際に観ているが、その時からは半分ほどの役の顔触れが変わっている。原作が想定するよりも時代設定はずっと現代に近い所に置かれているようで、近代的な色合いが強い印象はその当時と同じだ。

 

歌ではまずアラベラとズデンカ姉妹のコントラストが声の上でも演技の上でも明確で、マギーはアラベラ役としての雰囲気を十分に備えている。姉妹の父親ヴァルトナー伯爵を訪ねてくるマンドリーカのコニェチュニーの若々しい声にもアラベラに対する求婚者としての気持ちが切々と伝わって来る。

 

ウェルザー=メストの指揮には、しっかりとオ−ケストラをコントロールしてはいるものの、シュトラウス独特の音楽の厚みを感じられず、伝統的なウィーンの情緒に乏しくてやや歯切れのよさが目立つものの、拡がりの薄い、スカスカな印象を感じてしまうのが残念。

 

ベヒドルフの演出は、舞台を1920年代に置き換えて第1次世界大戦後のウィーンの没落した(戦争でなにもかも失った)貴族というコンセプトそのものはいいとしても、細部に渡ってディテールがしっかりとしていないから、こちらが突っ込みどころ満載といった舞台になってしまっている。

 

 

 

 
| CD・DVDレビュ− | 16:06 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事
欧州クラシック通信(2013.04.19.)

トルコのピアニスト、ファジル・サイ 
「イスラム教侮辱」猶予付き禁錮刑

 






「愚かな人や泥棒がいるところには、常に神を信じる者がいる。矛盾していないか?」などと、イスラム教徒をからかうような文章を自身のツイッタ−に書き込んで物議をかもしている、世界的に活躍するトルコのピアニスト兼作曲家ファジル・サイが、イスラム教を侮辱したとしてイスタンブールの裁判所は、サイに禁錮10カ月、執行猶予5年の判決を言い渡した。

 

自らを無神論者と公言してはばからないサイは、この種の言動をたびたび繰り返しており、トルコの保守派の人から検察当局に告発されていた。

 

判決で裁判官は「宗教をおとしめる内容だ」と認めたものの、サイ氏が過去に罪を犯した事実がないことを考慮して執行猶予とした。現在ファジル・サイはドイツツアー中で裁判には不在だった。この判決は国際的にも批判が大きく、判決に対しサイ氏は地元メディアに「私は悪いことをしたとは思っていない。信条や表現の自由は保障されるべきだし、今のトルコの状態は心配だ」と述べている。

 

トルコは国民の90%以上がイスラム教徒だが、憲法により厳格な政教分離が定められている。だが、現政権は親イスラム派のエルドアン政権で、表現の自由が制約されているという指摘もある。ヨ−ロッパ連合(EU)に加盟申請しているトルコだが、言論の自由と寛容はEUの基本的な精神だから、正式承認をまだ得られていない。

 

ファジル・サイは世界の一流オーケストラとも共演。欧米や日本などで人気を集めている異色ピアニストで、今後について「祖国トルコはインスピレーションの元ではあるけれど、外国の移民を考えている」と言っている。

 

文:三宅坂 幸太郎(音楽ジャ−ナリスト)

 

 

 

 
| 欧州クラシック通信 | 23:24 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事
ゲルギエフの『ワルキューレ』

ゲルギエフの『ワルキューレ』

 




ワーグナー:『ワルキューレ』全曲

 

ヨナス・カウフマン(T ジークムント)

アーニャ・カンペ(S ジークリンデ)

ニーナ・ステンメ(S ブリュンヒルデ)

ルネ・パーペ(Bs ヴォータン)

エカテリーナ・グバノヴァ(Ms フリッカ)

ミハイル・ペトレンコ(Bs フンディング)

ジャンナ・ドンブロフスカヤ(S ゲルヒルデ)

イリーナ・ヴァシリエヴァ(S オルトリンデ)

ナタリヤ・エフタフィエヴァ(Ms ワルトラウテ)

リュドミラ・カヌンニコヴァ(Ms シュヴェルトライテ)

タチヤナ・クラフツォヴァ(S ヘルムヴィーゲ)

エカテリーナ・セルゲーエヴァ(Ms ジークルーネ)

アンナ・キクナーゼ(Ms グリムゲルデ)

エレーナ・ヴィートマン(Ms ロスヴァイゼ)

 

マリンスキ−歌劇場管弦楽団

ワレリ−・ゲルギエフ(指揮)

 

録音時期:20116月、20122&4

録音場所:サンクト・ペテルブルク、マリインスキー・コンサート・ホール

録音方式:ステレオ(デジタル)

 

マリインスキー(自主制作) SACD(ハイブリッド) MAR0527(輸入盤 4枚組) オ−プンプライス

 

 




超豪華キャスト カウフマン、ステンメ、パーペ、カンペ!

バイロイトでは不可能なワーグナーのスター揃い踏み!

ゲルギエフの『ワルキューレ』!

 

強力なワーグナーの新録音が登場!マリインスキー劇場のワーグナーの『ワルキューレ』がこれ。ゲルギエフが指揮というだけでも話題十分なのだが、加えて歌手がとんでもなく豪華、今この役を歌わせたら一番という人ばかりなのだ。ジークムントは、ヘルデンテノールの王子とも言える人気絶頂のヨナス・カウフマン。ジークムントは、ローエングリンと並んで彼の当たり役。ジークリンデは若手のワーグナー・ソプラノで最も注目されているアニャ・カンペ。2007年3月に新国立劇場での『さまよえるオランダ人』でゼンタを歌って大絶賛を浴びた。彼女は今年、生誕200年記念のバイロイト音楽祭でこのジークリンデを歌う予定。ブリュンヒルデは、現代最高のワーグナー・ソプラノ、ニーナ・シュテンメ。『ワルキューレ』のブリュンヒルデは、スカラ座の2010/11年シーズン・オープニングでバレンボイムの指揮で歌い、空前の大成功を収めている。さらにヴォータンは、近年この役に乗り出して大きな成功を収めているルネ・パーペ。フリッカは、モスクワ生まれの若いメッゾながら、スカラ座やメトロポリタン歌劇場で大活躍しているエカテリーナ・グバノヴァ。これだけのオール・スター・キャストは今のバイロイトでは絶対に実現でないし、METやウィーン、ロイヤルオペラですら近年ここまでの揃い踏みは無かろうというもの。

 

ゲルギエフは、持ち味であるイナミックな表現力と知性的なコントロールのバランスを取って、彼らしい充実のワーグナーを聴かせてくれている。マリインスキーの劇場ではなくコンサートホールでの優秀録音をSACD hybrid で発売。なおこのプロジェクトは『ニーベルングの指環』全作の録音へと向かう予定で、生誕200年の2013年を挟み、2014年に完結する予定だそうだ。

 

 

 

 

 
| CD・DVDレビュ− | 11:08 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事
欧州クラシック通信(2013.04.18.)

ミラノ・スカラ座がストライキ突入!

 




ミラノ・スカラ座の労働組合は、人員削減に抗議するために組合員がストライキに突入した。このため7日に予定していた「マクベス」の公演が急遽キャンセルとなった。今後も自体が変化しなければ、断続的にストに突入する可能性があり、さらに労使間の交渉が長引けば、この秋予定されている日本公演にも影響があるかもしれないので、予断を許さぬところだ。

 

さてスカラ座をめぐっては、すでに退任を決めている劇場監督リスナーの後任が今だもって決められない状況で、劇場内は混乱が続いている。音楽監督人事も噂だけが先行し、シャイー、ガッティ、ルイージなどの名前があがっているが、イタリア経済と国家財政、さらにこのゴタゴタで、これらの問題も長期化しかねないといった憶測も流れている。

 

文:三宅坂 幸太郎(音楽ジャ−ナリスト)

 

 

 

 
| 欧州クラシック通信 | 23:47 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事